穂積໒꒱ "14歳、明日の時間割" 2026年3月10日

穂積໒꒱
穂積໒꒱
@hozumi_
2026年3月10日
14歳、明日の時間割
一つの中学校を舞台に時間割に見立てた短編で紡がれる、優しくてちょっぴりほろ苦くてユーモラスな物語 「1時間目 国語」 中学生で小説家デビューを果たした明日香の日常と少しの不安のお話。 思春期らしい悩みが瑞々しく書かれている。明日香の生い立ちや人への着眼点が面白く書かれていてリズム感やテンポ感が良いところも読んでいて楽しくなる。明日香は中学生で小説家デビューしてはいるけどそれを除けばどこにでもいる普通の女の子で、将来のことで悩んだり迷ったり、人と比べたり人からの影響を受けやすかったりする。そういうところが自分の中学生時代を思い出させて特にリアルだと思った。 特に最後の中原くんとのシーンが好きで、中原くんの言葉とそれを受けて明日香が思ったことが初めて読んだときからずっと印象に残っている。何かに悩んでいる時にこの言葉をかけられたら本当に嬉しいと思う。名前で呼んでもらえて嬉しくなるのも共感。私のときも中学校に上がって男女に距離ができてみんなどこかよそよそしくなる中、あだ名で呼んでもらえて嬉しかった思い出があるから明日香の気持ちに本当によく共感できる。 「2時間目 家庭科」 家庭科クラブ副部長の伊藤さんとそのクラブに突然入部した野間くんの同志の物語。 初めて読んだときから大好きなお話。このお話でポップを描いたことがあるぐらい当時大好きだった。 恋のような、そうではないような、曖昧な関係が同志に落ち着くのが嬉しいような寂しいような、でも応援せずにはいられない気持ちになる。このほろ苦さが大好き。登場人物がみんな優しい人たちだからこそこの終わり方になったんだろうなと思う。悲しませないようにそっといなくなった野間くんも、こっそり連絡先を教えようとしてくれた中原くんも、誰かを思って泣いた伊藤さんも、本当に優しい人だと思う。特に、伊藤さんが野間くんだけじゃなくて野間くんの家族まで思い出して泣いているのがグッときたし、あえて中原くんが教えてくれた連絡先を控えておかないでいるのも、野間くんの優しさを無下にしていない感じで良かった。野間くんの自分を犠牲にする優しさもダメではないんだろうけど、中学生の彼にはもっとわがままを言って欲しかったし、言える環境を与えて欲しかった。家庭科クラブでの思い出がこれからの野間くんを支えていってくれたらいいなと思う。
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