鷲津 "ダーウィン以来" 2026年3月11日

鷲津
鷲津
@Washizu_m
2026年3月11日
ダーウィン以来
ダーウィン以来
スティーヴン・ジェー・グールド,
浦本昌紀
私の本棚は薬箱。その薬箱の中で一番処方しているのが、この本です。何やら難しそう、理系の本でしょうという声が聞こえてきそうですが、私にとってはバイブルのような存在 仕事の知識を得るために専門書を読むことはあっても、昔からHowTo本や啓発本は敬遠してきました。他人が読むことを否定しませんが、私が欲しいのは知識ではなく知恵。読んでこなかった理由はここにあるのかもしれません 自分の頭の構造は良く分かりませんが、宇宙や進化論の本が、自分にとっての啓発本。全く関係なさそうで、結構色んなことを教えてもらっています ここからグールド先生のお話 グールドはハーヴァード大教授で、進化論研究者。その世界ではグールドかドーキンスかと言われるほど著名なお方 彼は長年「ナチュラル・ヒストリー・マガジン」に、一般向け科学のお話、特に進化論を中心とした書き物を寄稿しており、時々それらを再編集して書籍として出版していました。この「EVER SINCE DARWIN」から「I HAVE LANDED」まで、彼が残したのは10冊。話題は最新科学の知見にとどまらず、キリスト原理主義者(全ての生き物は神様が創った)との進化に関する戦いや、当時話題だった宇宙の話(ちょうどボイジャーが次々と太陽系の惑星を訪れていた頃)などなど、彼自身、非常に博学だったこともあり話題は広範囲に及びました。また読者を飽きさせないグールド独特の文体もあり、連載は好評だったそうです。そんな彼の連載初期を凝縮したのが、この「ダーウィン以来」。タイトルの通り、進化論を確立したダーウィンの時代以降、今に至るまでの変遷が書かれています 専門書として読むと多分がっかりします、そもそも一般向けだから当たり前だけど。この本の良さはそこではなく、なぜ人は、社会は、間違いを犯すのかについて、科学史の視点から書かれていることです。この本でそのことに触れ、考えさせられることが、とても心地よく、結構リアルな世界で問題に対処するためのヒントを得たりもしました 彼は「人は間違いを犯す」その前提に立って物事を捉えています。思い込み、勘違い、妬み、権威主義、傲慢、無知、似非科学...これらが如何に科学を歪めてきたか、そしてこの先そうさせないためにどうあるべきか、書いているテーマは毎回違えど、根底にはこのことに対する問いかけがあります また彼は生粋のアメリカ人ですが、東洋的思想と相通じる部分があります。例えば、人は一人で生きられるわけもなく、誰かと繋がることで生きられる。昔、今西錦司先生が「共生」を旗印に、ダーウィン進化論に挑戦しました。ダーウィンが唱えた適者生存は間違いで、種は「棲みわけ」ることで環境に適応する。今では誰も覚えていない進化論ですが、グールドにはこれに通じる面があります。勿論、彼は生粋のダーウィニストのなので、ダーウィンの根幹を否定したりはしません。ただ彼が自説で、西洋人共通の還元主義的な物事の捉え方を排除したかったことは書籍の至るところで感じます 取り止めのないことを書きましたが、私にとってこの本がどれだけ大切か、書きたかったのはそれだけです
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