句読点 "知的生活の方法" 2026年3月10日

句読点
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@books_qutoten
2026年3月10日
知的生活の方法
古本買取でやってきて、扉の部分の文章が良かったのでそのまま読んでみた。 その文章というのは以下の通り。 「英語には「知的正直(intellectual honesty)」という言葉がある。知的正直というのは簡単に言えば、わからないのにわかったふりをしない、ということにつきるのである。 ほんとうにわかったつもりでいたのに、それがまちがいだった、ということはある。 それはあてずっぽうのまちがいとは違うから、そういうまちがいなら、まちがうたびに確実に進歩する。しかし傍から見ていたのでは、あてずっぽうでまちがえたのか、ほんとうにそうだと確信しながらまちがったのか、その辺の区別はつかないのである。 その区別がつくのは、自分だけということになる。そこで「己れに対して忠実なれ」という、シェイクスピアの忠告が生きてくるのである。」 「わからないのに、わかったふりをしない」 これが知的生活における一番根本におくべき姿勢であるという。 自分をごまかさない精神。これは今も変わらずに、むしろ今はAIによる解説などでわかったつもりになることが多いが、本当にわかったと言えるまではわかっていないという自覚を持ち続けることが大事だと思う。なんとなく理解したつもりになると、本当に深いところまでは見えてこない。 他にも、古典とは何回も繰り返して読むことに耐える作品のこと、という本質に立ち返って、「自分にとっての」古典を見つけることが大事であるとか、本は身銭を切っても買う方がいいとか、本の置き場所を考えることは意外と重要であって、家を建てるときにもそれを考えるべきだとか、いろいろ著者の実生活の体験に即して書かれているので、とても具体的で面白かった。 1976年の本で、時代を感じる部分(「クーラーはすごいぞ!日本の家屋には絶対に必須だ」という今では常識のようなことも、当時は当たり前でなかったのだなあと、その時代のことを想像しながら読めたのでそれはそれで面白かったが)もあるが、今なお通じることが多い本であると思う。しかし女性観に関してはちょっと「おや?ちょっとやばいかも」と思う部分も匂った。 まあ、当時の時代背景を考えれば仕方ないのかな、と思ってこの本を読み終えた後に、著者について調べていたら、英語学に関しては権威ある学者で数々の実績があったことは事実だけど、歴史観や、政治思想に関しては全く賛同できない人であることがわかって、残念な気持ちになった。具体的なことはここでは書かないけど、「うわあ。。」って感じの思想。寄稿していた雑誌とかも「うわあ。。」って感じの。 なぜ知的生活の方法を説くような人が晩年にはこんなに残念な歴史観の人になってしまったのだろう、とそれが不思議だ。 「わからないのに、わかったふりをしない」という鉄則を、自ら違反してしまった結果ではないだろうかと思うがどうだろうか。 この本の内容に限ればいろいろ面白いと感じたのは事実だったけど、そういう経緯があるのでこの本はちょっとあまりお勧めしたくない本かもしれない。いや、この本単体だけであれば内容は特に歴史観とかには踏み込んでいないのでいいかもしれないけど。個人的にはあまり店には仕入れたくない著者という認識になった。こういうこともある。
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