
鷲津
@Washizu_m
2026年3月16日

火星の生活
堀部篤史
わたしの本棚
京都にある本屋、誠光社の店主、堀部さんの書籍。サブタイトル「誠光社の雑所得 2015-2022」の通り、お店を立ち上げてから今に至る中で書いた原稿が収録されています
タイトル「火星の生活」は、映画『オデッセイ』での火星のサバイバルになぞらえて、誠光社を立ち上げた時のご自身の気持ちを書いたエッセイ
読み終えて、いまさらながら堀部さんの文章は小気味よくて面白いなぁっと。引き出しが多様というか、解釈の仕方が個性的で、読み始めたら最後まで止まりません
本の中でこんな文章がありました
「一冊の本を読んで得られることは読者によって千差万別である。シンプルな答えを用意するビジネス書や自己啓発のたぐいであれば、曲解のしようもないだろう。しかし、小説や哲学書はすべからく、答えではなくあらたな問を対峙する者に突きつけるものだ。」
以前読んだ若松さんの本でも同じニュアンスのくだりがありました。答えではなく問い…この言葉好きです。自分の価値観と同じ人を見つけると嬉しくなります。だからこそ堀部さんの文章が好きなのかも知れません
先日友人と「抽斗(引き出し)」について語る時間がありました。その人の魅力のひとつに、その人が持つ抽斗があると。年齢を重ねるほど経験に比例して抽斗は増えるけど、抽斗の数とその人の魅力は必ずしも一致しない
同じジャンルをウンチクを語れるくらい抽斗が多くても、それはただそれだけのこと。ポイントは様々なジャンルの抽斗(相互関係のない抽斗)が、その人の中で結びついている、経験の積み重ねが抽斗を結びつけている…そんな人に魅力を感じる。言葉では表現しずらいですが、伝わりますかね…
初めていく本屋さんで棚を見る時、大型書店のようにジャンルがきっちり整頓されているのではなく、それぞれの棚がその本屋、店主の意思、個性を感じさせる…なぜこの本の隣にこの本があるのか、そんな事を考えさせてくれる本屋さんに魅力を感じる。私の抽斗のイメージは、この棚の話とよく似ています
つまるところ、自分にはない抽斗の結びつきはとても興味深く、それに至る経験や感性を話してくれる人に魅力を感じる、そういうことかなぁ。堀部さんの書き物は、それを感じるので好きなのかも知れません