Meer_Klang73 "透明な夜の香り" 2026年3月16日

透明な夜の香り
香りは出来事と結びつくことで、執着や秘密のトリガーとなる。朔さんは香りを頼りにその人の真実をかぎわける才を持つ特別な人です。 本を読みながら、洋館の中の香り、一香さんの料理の香り、源さんが手入れするお庭の草花の香り、朔さんが再現する依頼者の香りが浮き立つような不思議な気持ちがしました。 一香さんを通じて朔さんと対峙すると、 見透かされることに不安になる気持ちよりも 見透かされて安心できる気持ちの方が強く矛盾した心地の良い感覚が残りました。 私は香りは思い出を引き出す鍵のようなものと思いました。ただし、頭の中の鍵穴の着いた引き出しは、気まぐれで思い出したいときに自由に思い出を呼び出すことはできません。 私は朔さんのような才はなく、香りから得る情報よりも視覚や聴覚から得る情報の方がきっと多いです。 けれども、夜の風の香りに四季の移ろいを感じて、その季節に行った場所、会った人、読んだ本、食べたものをふわりと思い出すのです。 茜い月の香りも楽しみです。
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