ruru
@ruru_1
2026年3月17日
すべて真夜中の恋人たち
川上未映子
読み終わった
あまり意志を強く持たずに生きてきた主人公が、はじめて「人を好きになる」という感情を知り、不器用に歩き始める。
美しい文体と、目を逸らしたくなるようなことも詳細に描かれ続ける内容のギャップに段々と引き込まれていった。
グサグサと刺さるような、どこか本質をついた言葉の数々も印象的だった。
自分の感情も、感想も、どこかの何かの“引用”なのかもしれない。
どこまでがほんとうの私の気持ちで、どこからが引用なのだろう。
いまこうして出力している言葉も、私がこれまで生きてきた中で出会った言葉たちで構成されている。
どんなときでも、覚えてきた「感情を表す言葉」の中から一番近いものを選び、私は自分の気持ちを言語化し、認識している。
この世に存在している言葉を当てはめて定義づけた時点で、それは「オリジナル」とは言い難いのかもしれない。
それでも、ここに生まれた“その感情”は、その人だけの、私だけの唯一無二のかけがえのないものでもあるはずだ。
言葉の持つ力は強い、と私は思う。
だからこそ、言葉で定義づけたものたちは、いい意味でも悪い意味でも、その言葉が持つ意味に引っ張られてしまうこともあるのかもしれない。
この作品を読んで、いままでより少しだけ丁寧に、そして慎重に、自分の中に生まれたあらゆる感情と向き合ってみたいと思った。
作中にたびたび出てくる「光」の表現も、とても魅力的だった。
こんどの冬になったら、真夜中の光を感じながら外を歩いてみたい。
そして日常に存在するさまざまな光を、もっとちゃんと見てみたくなった。
真夜中を一緒に歩きたくなるような人。
そんなふうに思える人が、“好きな人”なのかもしれない。




