蛸足配線 "安心毛布" 2026年3月18日

蛸足配線
@nekoai30
2026年3月18日
安心毛布
安心毛布
川上未映子
初めて『夏物語』を読んだとき、川上未映子はこの先ずっとずっと私にとって特別な作家であり続けるだろうと確信した。善百合子という人物を描いてくれたこと、理由はその一点だけで十分だった。いままで誰とも共鳴し得なかった意思や意志が文字として印刷され書店に並び、お金を払ってそれを手元に置くことができる。ずっと飲み込み続けるしかなかった屈託をようやく吐き出せて、背中をさすってくれる手があるのを感じた。 本書収録のエッセイのひとつひとつに、その手と同じ温度、湿度、やわらかさなめらかさを見出している。季節の風にゆるくほどけ、果物の皮を剥き、赤ん坊の頬をそっと撫でる手。ハレであれケであれ全ては取り返しのつかないその場限りの夢を見ているようなものなのに、文字を介して同じ夢を見ているような錯覚に陥ってしまうのは不条理で不可解なことだ。たぶんこの本読んだ人みんなベーコン食べたいんじゃない?ね!?
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