考えたい葦
@the-well-read-reed
2026年3月18日
星を継ぐもの【新版】
ジェイムズ・P・ホーガン,
池央耿
この物語の良さは流れそのものだと思う。
あらすじは物理学者として研究をしていたハントが国連宇宙軍にスカウトされ、本来ありえないはずの死体の正体を探る物語。
本作では科学者が、
発見→仮説→それを否定する仮説の乱立→新たな発見→...
という流れを繰り返す中で議論を重ね、徐々に答えに辿りつくという構成である。
したがって、この物語はSFであり、ミステリでもある。
また、この一連の流れは現実の科学史そのものだ。
万有引力を発見し、運動方程式を確認し、古典力学を導き、熱力学、電磁気学を体系化し、そして量子力学の最先端研究に至るまで人類は常に仮説を立て、議論を重ね、この世の真理を追い求めてきた。
そして、それはこれからも変わらないであろう。
つまり、現実の科学史も1つの巨大なミステリの物語と言える。
1つ異なるところがあるとするならばそれはfictionとして完成した物語ではなく、間違いなく現在もrealとして更新し続けていることだろう。
この作品は学術的で科学的な人類の営みを積極的に扱い、科学者たちの飽くなき探究心と熱意を書ききっていると言ってよい。
非常に良い読書体験だった。
〖補足〗p264~265について
泡がどうたらというところに引っかかったので自分なりに説明してみます。
私は工学系なので量子力学は適当だし、間違っている可能性もあるので話半分で聞いてください。
まずドーナツ型の枠があってその中を「 すごく重くて小さい物体」がグルグル回ってる。
それに磁場を変化させると電磁波ができる。
中学生の頃やったコイルに電池を抜き差しする実験を思い出して欲しい。
電磁波というのは要は光のことでwifiのルーターをOO光みたいに言うと思うのでそんなイメージでいい。
それでその光をこのドーナツの枠の中に蓄積する。
そして磁場の周波数を調整するとこの光が共振する。共振というのはいい感じの周波数にすると出力がすっごく上がることだと思ってくれればいい。
で、それによって空間が歪む。
よく分からないと思うからゆっくり説明する。
具体的には紙の上にりんごかなんかを置いて紙の端をもって持ち上げようとすると中心が沈む。
これが現実の空間でも起きてる感じ。
つまり、すごく重いものに引き寄せられる(万有引力)というのは、エネルギーが大きいものによって空間が歪まされて坂道をコロコロと転がって行くように引き寄せられますよということ。
だから「すっごく重たくて小さいもの」をとても速く動かしたり、共振させて電磁波のエネルギーを溜め込むとエネルギーの密度が上がって空間が歪むことで穴に落ちるような感じで移動できる。
でも、実際これをやろうとすると穴を作るには前を谷にして後ろを山にしないといけないから負のエネルギー(紙の中央を引っ張りあげること)が必要だし、「すっごく重くて小さい物体」を用意できないし、用意できてもそんなものに耐えられる枠がないから現実的には難しい。

