
おさとうトマト
@fptoma
2026年3月21日
はじめてのクラシック音楽
許光俊
読み終わった
「入門書。これほど空しい本はありません。」からはじまるクラシック入門書。どういうことやねん。
入門書というと、幅広い領域をカバーしあまり著者の感想などを書きすぎず、誰にとってもまるい本という印象だったのだが、冒頭の言葉の通り、それを良しとしない著者が書いたものなのでかえって面白い。皮肉の効いた主観的な文章で、クラシックとの向きあい方や音楽家たちの紹介が綴られていく。
明るく明快な曲よりも、抽象的・情緒的で奥行きのある音楽が好きだという著者の感性が、さらっと一読するだけでもうかがえる。深みのない派手さを重視する音楽には辛辣で、カラヤンという指揮者のことが大嫌い。こんなに主観をあらわにした入門書で逆に大丈夫なのか心配になるレベル。
でも、何かに興味をもつきっかけ、いわゆる沼るきっかけって、本当にその分野が大好きな人のひとり語りであることが多い。逆に布教用の綺麗な言葉を並べられても、するっと流れて終わってしまう。クラシック好きなおじさんの皮肉たっぷりの話を聞いていたら、いつのまにか興味をそそられていた。あの作曲家の人の曲を聴いてみようかな、この人の指揮する演奏ってどんなだろうか、と自然に思えてしまう。かえって入門書としてふさわしい一冊なのかも……しれない。

