
編集Lily
@edition_lily
2026年3月21日
ひとりの宇宙
櫻田宗久
読み終わった
作家の川本直さんの案内で、先日初めて新宿二丁目の「星男」を訪れた。宇野亞喜良さんの絵がお店のコースターなんかに使われていて、それと「星男」という不思議な屋号に心惹かれて長年気になっていた。店主は櫻田宗久さん。私の世代の文化系女子たちにとってのアイコンだ。
本書はその櫻田さんの現在までの記録。
生い立ちやセクシャリティに悩まれた日々の壮絶さは本書を読んでほしいが、バー「星男」をオープンされてからのエピソードや、そこから櫻田さんが思い至った様々な心象描写が素敵だったので、ここに一つメモしておく。
若い女性の常連さんが病を得て、ついには亡くなってしまう。櫻田さんはご家族に頼まれて葬儀の受付を引き受ける。そこで弔問者の顔ぶれを見て、その女性の東京での友人は「星男」のお客さんばかりだと気づく。バーでの時間は彼女にとって、24時間365日のほんの一コマではなかったのだ。櫻田さんはその事実に愕然とする。
〈私は、自分の浅はかさを恥じるほかなかった。自分を守るために、本心のところで他人の心を受け入れていなかったのだ。〉
悩んだり失敗したり、時に人に迷惑をかけたりしながら、そのたびにいろいろ考えて生きてきた結果と美学がお店の佇まいをつくっているのだろうな。また飲みにいきたいと思っています。

