
ペリー
@periperiperry
2026年3月22日

孤独社会
吉川純子,
小澤デシルバ慈子
読み終わった
原題を直訳すると『孤独の解剖学』。
日本での孤独と自殺について人類学した本。
孤独・自殺に関する言説の問題点、従来の研究で見過ごされていた点に取り組むべく、「共感」を方法論的に用いながら「主観性」にフォーカスした研究が成されている。
孤独への処方箋も提案されてはいるが、「一応手短に示すと…」程度なので、孤独の解決策を求めている方向けの本ではない。
それよりも、上記のような著者の方法論と分析の切り口によって、孤独を取り巻く状況や孤独に関連する概念が読み解かれていくプロセスの素晴らしさを味わう本だと思った。
また、アメリカの一般人向けに書かれているので、「なるほど、日本のこれをアメリカ人に説明するとこう言わなきゃいけないのか」ってのも面白ポイントだった。
主観性は「自己」と「他者・環境」の両側に向いており、主観的な経験が他者・環境を作ってもいるし、他者・環境が主観的経験を規定してもいる、ということが繰り返し強調される。
著者はその主観性の二面性を「内と外が浸透し合う膜」に喩えていたが、個人的には内と外が相互包摂するような捉え方もあり得ると思った。
終盤で明かされるように、収集された一人称の語りをこの本に記述する仕方も工夫されていて、読者が徐々に共感を醸成して入り込みやすくなっている。この工夫は真似したい。
それにしても、本書で示された「共感」の恐ろしい側面や、「生きがい」「生きる意味」を巡る結論は、皮肉だと言っていいかもしれない。「生きがい」とかについての言説になんとなーくもってた違和感を肯定されたようで、深く頷く思いだった。
