
ペリー
@periperiperry
- 2026年1月1日
揺さぶる経営学柳淳也読み終わったクリティカル・マネジメント研究(CMS)の本。CMSは、1.(非)パフォーマンス志向、2.再帰性、3.非自然化 の三つを特徴としており、主流派の経営学の「当たり前」を問い直している。 ゲイ当事者である筆者が、企業のLGBTQ言説を題材に「クリティカル」に論じていくが、その再帰的に考える実践の過程にまさに「揺さぶられ」る。 正直そこまでLGBTQ問題や経営学に興味がない私でさえ、本書を通してもっと根本的な部分で何かを返されたと感じた。第V章はもう全部暗記しておきたい。それくらい素晴らしい。 - 2025年12月31日
現代思想の教科書石田英敬読み終わった「フランス現代思想」だけでなく、ソシュールやフロイト以降の話をトピックごとに分けて解説してくれている。 この類の現代思想入門本を何冊か読んだ中では、これが一番説明が整理されていて簡潔で、カバー範囲もしっかりしていると感じた。 - 2025年12月31日
技術哲学講義M.クーケルバーク,久木田水生,直江清隆読み終わった色々な技術に対しての応用倫理みたいな話が中心かと思って読み始めたら、それよりも「技術とは何か?」みたいな壮大な問いが常にベースにある内容で、そこから必然的に「人間」概念が問い直されたりするため、骨太かつ広範な学びを得られた。 技術や道具を改めて捉え直したい方にはもちろんおすすめだし、哲学全般の学びとしても良い本だった。 - 2025年12月31日
傷つきやすいアメリカの大学生たちジョナサン・ハイト,グレッグ・ルキアノフ,西川由紀子読み終わっためっちゃ雑にいうと「過保護のせいでエリート若者がヤバい」的な話。子をもつ親として身につまされた。この本で取り上げられた現象は、既に日本でも起きていると思う。ずっと忘れず教訓にしておきたい本だ。 問題への処方箋として本書で提示される案はいささか単純で、より詳しい検討が待たれるが、それでも素晴らしい問題提起をしている。「ケア」を考える上でも本書の問題は念頭に置くべきだと思う。 - 2025年12月31日
嫉妬論山本圭読み終わった2025年読んだうちのベスト5に入れたい。 「嫉妬」は悪として排除されてきたが、真正面から扱ってみることで大事な視点が見えてくるのでは?というような提案だと読み取った。 いつの間にか前提になりがちな「理性」「合理性」やら、「倫理」「正義」の理論やらを考えるとき、本書のように「嫉妬」のことを考慮できているか?と問うことが、外在的な上から目線の予防策になると思った。 また、自分自身の嫉妬から目を逸らさず正面から向き合って苦しんでこそ、何か見えてくるものがあるんじゃなかろうかという、より踏み込んだ提案もあった。その点ラカンの欲望論にも通ずるなーと。 ロールズ正義論の批判的検討が特に痛快。 - 2025年12月31日
余白の芸術李禹煥ちょっと開いた買った次読む候補 - 2025年12月31日
休み時間の過ごし方團康晃ちょっと開いた買った次読む候補 - 2025年12月31日
- 2025年12月31日
読み終わったまた読みたい「自分の頭で考えよう」 「心の声に従い、やりたいことに邁進しよう」 「他者とどんどん繋がろう」 といった、自己啓発書でありがちな文言が、この本では全否定される。 日本では珍しい"プロ哲学者"による、哲学への道案内と、私たち現代人のマズい状態の分析と、そこそこ具体的な提言がセットになった本。個人的には、もともと自己啓発の文脈が肌に合わなかったのもあり、著者の主張が好みに合って、とても好きな本になった。 しかしまあ何というか、感想を迂闊に書けない。表現・文体は易しく読みやすいので、意味不明ということではないんだが。 というのも、本書の超ざっくり結論は、 「謎や疑問に対して、安易に『自分の分かる範囲』に回収せず、不確実性や疑念の状態に耐えること(=ネガティブ・ケイパビリティ)が重要。そのために自分自身と対話しましょう」 という感じだからだ。 「◯◯という学びがありました!」とか言うと、「いやそういうことじゃねーから!」となる。 また、ここでの「自分自身と対話しましょう」というのは、「心の声に従う」「本当の自分を求める」といった内省とは違う。むしろそういった内省は、「自分の声だと今の自分が思っているもの」を増幅させ、自分の中にある葛藤や対立を早々に手放すことを助長しかねない、と批判されている。 本書のメッセージを真摯に受け取って、本書が提案する狭義の〈趣味〉をゆっくり実践して味わった上で、時間をあけてまた読んでみたいと思った。 哲学者の引用以外にも、燃えよドラゴンとかエヴァンゲリオンとかの引用も結構重要な文脈で登場する。が、ノータッチの私でも楽しく読めたんで、エヴァアレルギーの方以外は大丈夫だと思う。 - 2025年12月31日
自由の命運 上ダロン・アセモグル,ジェイムズAロビンソン,Daron Acemoglu,James A.Robinson,櫻井祐子,稲葉振一郎読み終わった原題は、The Narrow Corridor(狭い回廊)。 個人の自由を大切にする社会は、非常に限られた条件すなわち「狭い回廊」の中にしか実現せず、回廊に入るのもそこに留まるのも容易ではない。 という主張を、国家と市民社会の2軸で見て、古今東西の社会について2軸それぞれの強さをプロットし、両者の強さの組み合わせを色々と分析するという方法論によって述べている。基本的にこの方法論と上記の主張はずっと一貫していて、その実証分析として色んな国を見ていきましょう、という本。 とにかく事例が豊富で分析も丁寧なのでボリュームは重いが、ベースが貫かれているから迷子にはならない。この方法論の妙を味わい、新たな分析の枠組みをゲットするのが王道の楽しみ方だと思うが、単純に歴史と現代社会の勉強としても読んでいて楽しかった。 - 2025年12月31日
世界史の考え方小川幸司,成田龍一読み終わった新書だが、密度が凄まじい。さすがに凝縮しすぎなので、これを更に数巻に分けてほしいくらい。歴史認識を更新する知的営為としての"歴史学"をたっぷりと味わえる本。しかもこの1冊で近代初期~現代をしっかりカバーしてる!いわゆる一般的な歴史認識、そこから形成される今の社会の捉え方が、様々な角度から議論され、問い直される。まさに歴史は「今を知るための学問」だなーと。歴史に触れるときの心構えが変わった。 - 2025年12月31日
- 2025年12月31日
ケアの倫理岡野八代読み終わった非常に良かった。 個人的に「ケア」のバズワード化に疑問がある。その違和感を探りたくて同じく岩波新書の『ケアの物語』『ケアと編集』を先に読んだ。が、フェミニズム等から出てきたケアの話と、医療の臨床等から出てきたケアの話がごっちゃになってるせいか、ケアに注目することで何を批判しどんな主張をしたいのかがピンとこなくて混乱していた。 そこに本書を読んで、先に読むべきはこっちだったと後悔した。それくらい素晴らしい本。 フェミニズムの系譜からのケアの主題化を順を追って解説し、主張の内容、意義、これまでの議論を丁寧に説明してくれる。 ケアを語るなら必読。 - 2025年12月31日
内在的多様性批判久保明教読み終わったまた読みたいマジでハンパなく素晴らしい本で、今後これを凌駕する本に出会える気がしない。ほぼ全文が重要に思えて、最初から最後までずっとどこに付箋を貼っていいかわからなかった。 外在的な視点に依拠して多様性を捉える話が世には溢れてるが、それを批判的に乗り越えようとした近年の人類学の歩みを改めて辿り、その整理の基で多様性批判をやり直そうという趣旨。 「当事者性」「質的調査」「存在論的デザイン」等々、本書で言うところの「正面的比較」の志向が昨今強くなっていて、私も基本的には賛同しつつも、「それを突き詰めすぎるとめっちゃ窮屈になるのでは?」と懸念も抱いていたところ、本書がそこをしっかり論じてくれていて膝を打った。 読んだ後に、noteで公開されている著者の執筆ノートを読むと大変味わい深く、理解も深められてよかった。 https://note.com/sakuhinsha/n/n9f917965e849 - 2025年12月31日
世界99 下村田沙耶香読み終わった人のあらゆる醜さ、愚かさ、卑劣さ、しょうもなさがなんでも見つかる。人の醜さを直視させられ、そこから目を背けても、背けた先に別の醜さが目に入る。人間の汚点のバーゲンセール小説。 まあもちろん小説なので醜さを露呈しているのは登場人物なんだが、それが読み手の自分にガンガンに跳ね返ってきて気が滅入った。いちいち皮肉の攻撃力が高くて「止めてくれ、その術はオレに効く」ってなりまくるし、皮肉が刺さる以外でも嫌な気持ちになる場面が目白押し。読んでいて特に嫌だなと感じた登場人物の言動や考えこそが、自分が排除したいけどその欠片を持ってしまっている醜さそのものなんだと思う。自分の欲望の写し鏡となる小説だ。 パーフェクト善人は一人も出てこなくて、みんなそれぞれ多様にクソなんだが、なぜこんなに多様なのに似たような薄気味悪さを感じてしまうのだろうか、と疑問に思いながら読み進めた。暫定的な答えとしては、登場人物みな自らの欲望に向き合わず外的な価値や倫理に逃げているように見えるからだ、という感じだろうか。だから、少なくともある程度は欲望を直視している主人公や小早川さんが良くも悪くも爽やかに見えるのではないか、と。 エンタメ的楽しさはなく、ストーリーに感動できるわけでもない。それでも読まれるべきすごい小説。ちなみに、「深く考えさせられた」という感想を持ってしまいそうになるが、そういう態度もしっかり刺されている(本書の言葉でいうと「それ世界3っぽい!」と言われそう)ので、実は感想を言いにくい本。
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