
風邪ひき
@damdamdan
2026年3月26日

イン・ザ・プール
奥田英朗
読み終わった
今回で四回目となる、繰り返し読んでる好きな小説。
『伊良部シリーズ』は実は構造的には流行りの『成瀬シリーズ』と同じで、
〈毎回変わる語り手が、それぞれ抱えるやっかいな心のトラブルを、浮世離れした変人である主人公と交流することにより解決し、『なぁーんだ』と軽い気持ちで一歩前進する〉
というほっこりする短編集なのだが、成瀬と大きく違う点は、精神科医の伊良部先生がとんでもなく気持ち悪い変なオジサンなのだということである。
なのに読後感の爽やかさは似てるのだ笑
この26年前に書かれた第1集は、さすがに当時OKな描写でも今はオイオイ(汗)となる点も若干あるが、今回読み直してみて、本当によく出来た小説だなぁと思った。
各患者たちの症状は外見のグロテスクさが最初は印象づけられるが、その内面の「本人はいたって真面目で必死に助けを求めてる」が語られ、共感とともに引き込まれる。そして、変人なのか天才なのかわからない伊良部の、アホな子供みたいな一言に、笑いつつもなぜか真理を読みとってしまい、ほぉーっというのとトホホというのの両方の読後感がある。
根っこは優しい人情小説なのだ。
こういう作品、他にも探したい。
ちなみに4冊もシリーズが続くのだが、
後半に行くほど現在のポリコレ的にも大丈夫になっていく上に最新刊『コメンテーター』には奥田英朗先生の円熟味さえ感じる。









