

風邪ひき
@damdamdan
よく風邪ひく。
読書家ではない。
ここを参考に本を選ぶこともしばしば
- 2026年4月12日
横浜駅SF(1)柞刈湯葉,田中達之読み終わっためっちゃくちゃに面白かった!! 横浜駅が科学技術で自己増殖し、日本の本土を呑みこみ始めて200年。本州を覆うエキナカに棲む人々は横浜駅によって生かされ、誰もそのことに疑問を持たなくなった世界。 駅の外の貧民街に住む若者が5日間だけ横浜駅に侵入できる「18きっぷ」を手に入れ、横浜駅を旅する。しかしそれは、巨大な横浜駅の秘密を知る旅となってしまう… 悪い冗談みたいな設定なのに、読み進めると物語世界内での説明がしっかりしていて説得力があるのだ。そして意外にも骨太なハードボイルド冒険譚なのである。 こんなタイトルでこんな設定なのに全然ふざけてないのだ!(ネーミングとかに悪ふざけはあるけど) 奇想天外な世界を旅するストーリーが、椎名誠の『アドバード』に似てると思ってたら、あとがきにて作者の柞刈湯葉氏自ら『アドバード』の影響を語っていた。 (『アドバード』は「広告」が世界を覆い尽くした奇想天外なディストピアの冒険譚) いやぁ、椎名誠の『アドバード』みたいな小説、読みたかったんだよな〜って人には超オススメしたい。(アニメだとたつき監督の『ケムリクサ』がそれなのでオススメ) - 2026年4月8日
紅い花(1)つげ義春読み終わったつげ義春さんが亡くなった。『紅い花』と『ねじ式』の文庫本は若い頃に初めて買って読んで、いまだ10年単位くらいで読み返している。今回も、あ、こんな事描いてたか、とか、こんな繊細なコマが、とか新鮮に読めた。 いま『つげ義春日記』をチョビチョビ読んでいる。その中で、70年代にマンガ文庫ブームが来て印税で貯金が一気に1千万円になる記述がある。難解で芸術的ゆえの貧乏暮らしのイメージがあるが、つげ義春は芸術志向のマンガとはいえ、そこはかとないユーモアやしみじみと胸に迫る抒情性、底辺の人々に向ける上からじゃない眼差しなど、読者への間口は広いのだな、と改めて思った。 で、つげ義春の文庫を、しかも最初の70年代に出た小学館版が欲しくなり、取り寄せた。表紙はこれとは違うし、収録作品も3作品少ないが、読みたいものは全部入っていた。 『海辺の叙景』『ほんやら洞のべんさん』も久々に読んだので、この2作を三宅唱さんが映画化した『旅と日々』、まだ未見で早く観なければと。 - 2026年4月7日
- 2026年4月4日
先祖探偵新川帆立読み終わった新川帆立先生は『元彼の遺言状』『目には目を』に次いで三冊目。 『依頼主の先祖を調査する探偵』という設定の連作短編集で、コミカルなものを予想していたら、本格ミステリーや家族の秘密、民間信仰、ドヤ街の無国籍者、さらには『探偵』の名に恥じず鼻の骨を折られるくらいのハードボイルドまで!面白い! サービス精神あふれるエンターテイメントなのだが、『棄民』とか『棄児』などの言葉で表現される弱い立場の人々への、同じ高さの目線が熱くてグッときた。 - 2026年4月1日
幽麗塔(1)乃木坂太郎読み終わった読み始めた『夏目アラタ』がとても良かったので作者の乃木坂太郎氏の他の作品を読み始めた。 2014年度のセンス・オブ・ジェンダー賞大賞作品。 1899年に黒岩涙香が翻訳した『幽霊塔』 という小説がベースになってる。江戸川乱歩もこの小説をリメイクしている。確か小学生の時に少年探偵シリーズ『時計塔の秘密』のタイトルで読んだはずが、記憶の遥かかなた 笑 このマンガはそれを下敷きに、戦後日本を舞台に、通俗小説やカストリ雑誌が好きな今でいうオタク青年が時計台を巡る怪奇な謎に巻き込まれ、金持ちだが怪しい男装の女子とともに真実を追う、というかなり作者の趣味全開な内容。 1巻を読んだ感じ、クラシカルな怪奇の雰囲気と今っぽい登場人物のハイブリッドな印象。 センス・オブ・ジェンダー賞(よしながふみ先生の『大奥』や市川春子先生の『宝石の国』も受賞してる)ということだが、今のところまだ片鱗しか出てきてない。楽しみ。 - 2026年4月1日
夏目アラタの結婚(12)乃木坂太郎読み終わった最終巻。大傑作では?! ぐちゃぐちゃに心揺さぶられた。 真珠とアラタという二人の複雑で繊細で魅力的なキャラクター。 犯罪サスペンスとしても二転三転する面白さ。主人公たちの大胆な行動。意外性を見せる脇のキャラクターたち。見えてくる社会の奥。 そして哀しい魂の行方を描くクライマックス。 神マンガだわ。 ものすごく疲れたけど、出会えて良かった。 - 2026年3月30日
夏目アラタの結婚(1)乃木坂太郎読み終わった太ったピエロメイクの猟奇殺人者として世間を騒がした女と、被害者の遺族からある願いを託され面会することになった児童相談所の男が、感情のまま頭脳戦を繰り広げるサスペンス人間ドラマ。 人ってそういう心理あるよなー、と思わせる描写が冴えまくってる。ストーリーもこっちの予想をなん度も超えてくる。 今月末まで40話くらい無料キャンペーンとあったので、つい読み始めたら面白くて有料まで踏み込んでしまった。笑 設定もキャラも冴えてるし、サスペンスとしても面白い。次々と切れ者のキャラが出てくるのも良い(裁判長とか)。 個人的には『海外の賞とったけど文学的な深味というより割とよく出来たエンタメ漫画っぽい』と思った某小説『B』より、人を信じさせてトリコにさせるモンスターのキャラが派手で深みもあって、読んでて面白い。比べるもんじゃないけど個人の好みで 笑 まだ全体の半分なのでこの先楽しみ - 2026年3月28日
IN/SECTS vol.19 特集 私たちの時間LLC INSECTS読んでる関西カルチャーマガジン最新号。 巻頭特集は、 『タイパ』なんて言葉が飛び交う現在で 『それぞれの時間の流れ』に注目し、 いろんな職種の人に時間に関するインタビューが掲載されている。 寺尾紗穂さん、麻吹真理子さんや、盆栽の専門家、林業の人、僧侶、編集者、 ほんといろんな人の時間の感覚の話、面白い。ムダ話の楽しさとか。 自分もほんとにちょーっぴり載ってます笑 (ここでは匿名ですが笑) 嬉しいもんですね☺️ - 2026年3月26日
イン・ザ・プール奥田英朗読み終わった今回で四回目となる、繰り返し読んでる好きな小説。 『伊良部シリーズ』は実は構造的には流行りの『成瀬シリーズ』と同じで、 〈毎回変わる語り手が、それぞれ抱えるやっかいな心のトラブルを、浮世離れした変人である主人公と交流することにより解決し、『なぁーんだ』と軽い気持ちで一歩前進する〉 というほっこりする短編集なのだが、成瀬と大きく違う点は、精神科医の伊良部先生がとんでもなく気持ち悪い変なオジサンなのだということである。 なのに読後感の爽やかさは似てるのだ笑 この26年前に書かれた第1集は、さすがに当時OKな描写でも今はオイオイ(汗)となる点も若干あるが、今回読み直してみて、本当によく出来た小説だなぁと思った。 各患者たちの症状は外見のグロテスクさが最初は印象づけられるが、その内面の「本人はいたって真面目で必死に助けを求めてる」が語られ、共感とともに引き込まれる。そして、変人なのか天才なのかわからない伊良部の、アホな子供みたいな一言に、笑いつつもなぜか真理を読みとってしまい、ほぉーっというのとトホホというのの両方の読後感がある。 根っこは優しい人情小説なのだ。 こういう作品、他にも探したい。 ちなみに4冊もシリーズが続くのだが、 後半に行くほど現在のポリコレ的にも大丈夫になっていく上に最新刊『コメンテーター』には奥田英朗先生の円熟味さえ感じる。 - 2026年3月25日
読み終わった人+牛で『件(くだん)』。 災害の時に現れ、不吉な予言をすると言われる。 怪談小説として有名な小松左京のこの作品。いつか読もう読もうと思っていて、今日やっと読んだ。 意外だったのは、怪談の怖さを上回る、終戦間際の荒んだ生活描写の怖さ。バケモノも怖いがヒトも怖い。やがて辿り着くグロテスクな真実。そのグロテスクは外見か中身か。なるほど、一級の短編(中編?)でした。 ちなみに、本作の舞台は兵庫県芦屋だが、その後、阪神淡路大震災の時、復興工事のために兵庫県に行った土木関係の方々の中に『くだん』を見たという報告が何件もあるらしい。 追記 何気なく調べたら1970年代にも兵庫県の六甲山で牛女が出るという都市伝説が流行ったらしい。全部兵庫県なの、火のないところに煙は…て感じで怖いね - 2026年3月25日
それいけ!平安部宮島未奈読み終わった『成瀬シリーズ』の宮島未奈の青春部活小説。 声出して笑えるし、するする読めるし、清々しい読後感。 最近の青春漫画や青春小説のヒット作って 嫌な悪役が出てこないし、ストレスになるエピソードもない作品が多いよね。 世間から浮きがちな主人公を周りが理解してあげる優しい世界も多いと思う。 正直、僕はその方が好き。ずっと読んでられるから - 2026年3月20日
平家物語 犬王の巻古川日出男読み終わった映画『犬王』の原作となった小説。 (映画はまだ観てないが湯浅監督と松本大洋は好きなのでそのうち観る) 琵琶法師を意識した短いセンテンスによる圧倒的なスピード。感情的な繰り返しの多用によるグルーヴ。 文体が音楽的で読んでてかっこいい。 読む日本語ロック。 ストーリーよりもワードセンス、スピード、グルーヴ、アティチュードetc. 実在の役者で、しかも観阿弥・世阿弥と人気を二分したとされる猿楽師、犬王(または犬阿弥、または道阿弥とも呼ばれたらしい)。 たぶん記録がそれほど残ってない謎大き人物(世阿弥がその演技を絶賛してたりする)。 そんな人物を、古川日出男の想像力が『名声のために悪魔に魂を売った父のせいで呪いにかかった悲劇の子』という古典的な異聞として語る。(手塚治虫を思い出すよね) そこに、三種の神器の一つ、草薙の剣を見てしまったために盲目になってしまい、琵琶法師の道を極めんとする友魚との友情が加わる。 これは映像化したくなるよね。 観ますわ。 - 2026年3月18日
ファミレス行こ。 下(2)和山やま読み終わった自分も聡実くらいの年齢の時にかなり年上の人(僕の場合は狂児と違って異性でしたが)が好きになって、しかも年上の人になんやおちょくられてるような気もして、わあーっ!なんやねーーん!てなってた時期がありまして、そんな事を思い出しつつ、ようけ笑わせてもらいました。 人の感情のどうにもならなさの愛しさと可笑しみを同時に描ける和山先生の才能、まじ神でした。 - 2026年3月14日
ゲンロンy 創刊号のしりこ,ユク・ホイ,ゲンロンy創刊号編集委員,ゲンロンy創刊号編集委員会,三宅香帆,中村拓哉,五月女颯,伊勢康平,伊藤亜和,佐々木チワワ,吉田とらじろう,四宮駿介,大崎果歩,山内萌,布施琳太郎,杉村一馬,李舜志,林凌,栁田詩織,森脇透青,植田将暉,河村賢,石橋直樹,福冨渉,谷頭和希読んでる毎週の『人文ウォッチ』の視聴者としては 楽しみにしてた創刊号!買いました。 分厚いのでゆっくり読みます。 - 2026年3月14日
祝山加門七海読み終わった映画化されるので読んだ。 と言っても2007年の本。 僕は好みではなかった。 すみません。 でも最後までどんどん読んだので 面白くなかったわけではない。 映画は主人公が橋本愛なので、このちょっと自意識過剰チックな語りの主人公より、 静かな追求者という感じになれば、もっと怖がれるかもと思った。 - 2026年3月9日
目には目を新川帆立読み終わった何一つ、『ベタ』や『手垢のついた』描写や展開が無いように感じた。リアルで説得力がある。それでいて読みやすいし、引き込まれる。さすが新川先生。面白い。 6人の少年犯罪者が出てくるが、それぞれの犯罪の理由に、一見ベタな説明が出来そうでいて、その裏の別のコンプレックスを丁寧に掘り下げて見せてくる。そして裏の方が本当の理由としてリアル。 例えば『アソコが小さいから』と醜形恐怖症に陥って、自分がまわりから浮いてるのは親がこんな身体に産んだからだ!と責任転嫁して暴れる青年、あんまり他の作品で読んだことない(女性の体型コンプレックスはよく出てくるのに)。思春期って特に性に関することは一人で悩んじゃってトンデモ思考になることあるよ。わかる。これって男性の作家なら書かないかもね。 後半は二転三転するプロットの上手さに、なんとなく予想はしてたのに、どんどん引き込まれてしまった。 - 2026年3月4日
黒牢城米澤穂信読み終わった面白い!!! 正直言って第一章の終わりには少しモヤモヤした。期待し過ぎたかな?と読むのをやめようかと思った。 だが密室殺人やアリバイ崩し、第四章では米澤穂信の代表作のひとつ『満願』の中の一編(『夜警』)を彷彿とさす、一つの銃弾の意味の謎解きなど、ミステリーとしてバリエーション豊かで飽きさせない。しかも時代劇で、しかも地下牢の囚人がレクター博士よろしく天才推理をしてみせる! しかもしかも、こちらのモヤモヤを見透かすように読み進めていくうちに最初のモヤモヤへの謎解きがあるという用意周到ぶり! 映画化は黒沢清監督。 不条理ホラーが得意な監督だが 『スパイの妻』は見事なミステリーだった。 しかも暗闇や地下牢のような空間で水を得た魚のようになる監督である。 超が100個つく楽しみだ。 - 2026年3月4日
楠勝平コレクション楠勝平読み終わった副題に『山岸涼子と読む』とあり、山岸氏のセレクトとなる。 60年代のガロで活躍し、30歳の若さで先天性の病いで亡くなった楠勝平の傑作選。 職人としての生を選ぶか結婚して仕事を辞めるかに迷う江戸の若き女性を描いた『茎』を筆頭に、人の持つネガティブな感情を逃げることなく描き、悲劇でも喜劇でもない人の世というものをぶっきら棒にゴロリと見せる。いくつかの作品には、自らの死に対する思いが複雑に滲み出ている。 この時代の漫画は今のように心理を丁寧に説明せず、ぶった切るように終わったりするのだが、省略の上手さや、一コマ一コマの絵の表現が素晴らしいから、言葉の説明じゃない肉体的なエモーションがある。 まさに傑作選であった。 - 2026年3月3日
よだかの星宮沢賢治読み終わった連載中の『チェンソーマン』の最新話でオマージュがあったので、久々に読んだ。 読む時の年齢や環境の違いで、読後の印象も変わると思う。いまは自分もせめて青白く燃えたいと思う。 ちなみに『チェンソーマン』では、悪魔が鳥(言及されないが姿からしてヨタカ)の体を借りていた時、その鳥は虫を食べることに罪悪感を感じていたというエピソードが語られる。いま連載中の第二部は罪悪感が根底のテーマとなってるのだった。 - 2026年2月27日
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