みさと
@misa10
2026年3月28日

七日七夜 山本周五郎名作集
山本周五郎,
泉岳文庫
読み終わった
時々SNSに一場面が引用されて流れてくるのを見て、ああ泥棒と若殿もだけど血の通った表現をする作家だよなあと思っていたので読んでみた。
人情のあったかさに触れるまでの滑稽でしょっぱくて寒々しい描写が甘いだけでない世の中を映していてよかった。知っていた引用フレーズも前段踏まえて読むと尚良かったけど、着物を着せてくれるちい坊(昔からご近所で可愛がられているのがわかって良い)や「立派な若旦那ですね」と言ってくれる町の人、千代の口説き文句の描写がとても胸に迫った。
きっと昌平にとっての母親はアジールじゃなかったんだろうな……そしてそれを否ぶでも利用するでもなく受け止めてくれる場所に七日七夜かけて行き着くことができて良かった。
岡場所の女たちも想像上ではない血の通った言葉繰りでとても好感。そしてそんなところに売られてしまった悲哀を思う。
私の生きているこの世は七日七夜よりも善悪中庸でなにより無関心なのではと思う。