
猿馬大咳
@sarubaaaaa
2026年3月29日
少女不十分
西尾維新
読み終わった
曰く「僕はこれを書くのに十年かかった」。
強烈なキャッチコピーに惹かれて思わず購入──戯言シリーズを読み終わって、「西尾維新はこりごりだ!」と笑顔のまま書店に向かったらこの様だった。
気になる──そう思えたのは、間違いなく戯言シリーズや物語シリーズを読んでいたからだと思う。
というのも、西尾維新作品には、印象に残る少女がふんだんに出てくる。それらは正しく「不十分」と銘打たれても良いほどの、少女の登場ぶりだ。
そんな作品の著者が、少女という言葉をタイトルに入れている時点で、尋常ではないはずだ。
さて感想なのだが、やっぱり尋常じゃなかった。「この本に粗筋なんてない」やら「これは小説じゃない」やらと書いておいて、すっきりとして、またアクセルをギュンギュンと踏み続けるかのような爽快感で終われた。
Uという少女の奇妙な行動原理や、それに翻弄されながら適応していってしまう主人公。
「クビシメロマンチスト」のような、主人公のイメージが気味悪く崩壊していくのとはまた違う、ズレた人間を親身に描いているから、すんなりと受け入れられたし(まあ、西尾の話だし──というニュアンスで)、その目線に立っても異常だと言われるUの更なる異質さが、物語を構成している。
急激なアクセルという言葉は、良い意味でも悪い意味でも通るけれど、これはとても良いアクセルだな、と思った。
他の作品でも、素晴らしいドライブテクで、読者を振り回し続けてほしいと思える一作でした。


