四日坊主 "美しき監獄の方程式" 2026年3月29日

四日坊主
四日坊主
@Book_shelF
2026年3月29日
美しき監獄の方程式
終盤イッキ読みした〜。冤罪、囚人同士の友情、脱獄といえばショーシャンクの空にを連想したけど、想像以上に淡々とした地味な脱獄計画だった。 弓削にとっての焰は、人々がアッと驚く奇跡ではなく、繊細で穏やかで理知的な弓削という人間が羽嶋という人間に魅せられて「脱獄をする」という後戻り出来ない決意をすることそのものなんだと思う。それこそが全てを奪われた弓削の最後の尊厳であり、だからこの本は“弓削が脱獄を決意するまで”に多くの頁を割いている。 それを点火が遅いとは思わなかったのは、獄中生活の過酷さと弓削や羽嶋の境遇の哀れさから。 相内の件はしてやったりでよかったね。カタルシスの控えめな本書でここが一番にっこりしたかも。 また、寧子の最後の手紙も、山岸の聞きたいことも最後まで明かされずにいたのが切なかった。死んだ者との境界線とはかくも深い……でもそれらへの想いを捨てることはそれこそこれまでの人生や人間性を捨てることに等しいので、未練も全部抱えて彼らのことを時々大切なところから引き出して思い出せるような生活を手に入れられた弓削の姿に安堵した。 冤罪を晴らすために勝ち目の薄い魑魅魍魎渦巻く権力争いに首を突っ込むのも面白そうだけど、こういう逃避行もありだと思う。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved