ねむねむひつじ "知性の罠 なぜインテリが愚行..." 2026年3月29日

知性の罠 なぜインテリが愚行を犯すのか (日経ビジネス人文庫)
2026年ベストかも?(まだ3月だけど) 非凡な天才や熟練の専門家だからこそ起こしがちな失敗から、「どうしたらデマに踊らされずにすむのか?」「どうしたら自分を成長させられるのか?」を学べる。 自分より頭が良い人でも失敗するなら自分なんてなおさらダメじゃん、って思ってたけどどうやら「頭が良い」からこそ陥りがちな思考があるらしい。 キーワードは知的謙遜(あるいはRQ合理性指数)。人生に必要なのは自信でも自尊心でもなく謙遜だった。(『山月記』でも尊大な自尊心から虎🐯になっちゃうし) 知的謙遜とクソデカ好奇心で成功したのが、ノーベル物理学賞を受賞したファインマンだと本書は紹介する(この本にはほぼ失敗例しか出てこない。貴重な成功例)。彼は子供の頃からの好奇心を忘れずに死ぬまで学びとユーモアを忘れない物理学者だ。趣味の金庫破りで同僚にイタズラをしたり、ドマイナーな国の言語を学んでいつか旅行に行くことを心待ちにしていた。(が、 夢叶わず1988年にガンで亡くなった) ちなみに彼のIQは120程度で、一般に天才と呼ばれる水準140以上には満たない。ファインマンより有名な物理学者アインシュタインは少なくとも160以上あったと言われている。(本書ではアインシュタインの失敗例も登場する) 120を偏差値換算して学生時代の私と比べてみたら私より低くて驚いた。正直、ノーベル賞って自分とは縁遠い別世界のものだと思っていた。ファインマンのように好奇心を忘れずに学び続けていれば、自分にだって無限の可能性があったのだ。 言うて知的謙遜で人生ハッピーになれちゃうのはある程度地頭が良い人でしょ? まあ、それはそう。と包み隠さず著者は言う。ファインマンくらいのIQと高いRQを持ち合わせている人が成功したすい。なぜなら合理性とは、「己の知性をどう使うか正しく判断できる能力」のことだから。 IQはエクスカリバーでRQは剣スキル。伝説の剣を持っていても、使い方を誤れば自分や周りの人々を傷つけてしまう。(うちの職場にもいる。頭の回転が早くて仕事は出来るが皆に嫌われている人が) 一方で持っているのが小枝でも高い剣スキルさえあれば小枝エクスカリバーーッ!!できるかと言うと……できんのである。当たり前だがある程度の地頭の良さが必要だ。例えるなら王者の剣ぐらいの鋭利な思考力が。(IQ120は上位10%に入るスコアであり、ゲームで言えば終盤に手に入る「準最強」クラスの武器に匹敵する) じゃあ、RQの意義って何だ? この疑問にも著者は希望のある回答を用意する。 著者によるとIQが低い人ほどRQの恩恵が大きいのだそうだ。 つまりはIQの低さをRQがカバーしてくれるということ。地頭が悪いという人、学校の勉強が苦手な人ほどRQが重要なのだ。 さあ、今日から知的謙遜しよう! 謙遜と言えば日本人の美徳であり時には欠点として挙げられる。というか、欧米圏と比較して悪い意味で取り上げられることの方がネットでは明らかに多い。 が、本書では日本及び東アジアの例を良い意味で取り上げている。 個人主義が根強い西側諸国の人々に比べて、協調性を重んじる東アジア諸国の人々の方が知的謙遜を実践できている傾向にあるという。 例えば、成人の判断力に関するテスト(人生経験を詰むことで高まる思考力を判定するために実施された)。これをアメリカの老若男女に実施したところ年齢に伴いスコアが上昇する結果となった。が、東京では全く結果が異なり、日本人は25歳の時点でアメリカ人の75歳に相当する知恵を獲得していたという。 亀の甲より年の功…とは限らない? また、日本はじめ東アジアでは学習に「困難」が付き物という考え方があるとして、二宮尊徳の例も上げる。 対して西側諸国ではとにかく子供に「分かりやすく」教えるのが良いとされるが、これは間違いだと著者は指摘する。 別の本で読んだのだが、私達が「効果的だと感じる学習方法」は実は学習効果が低いことが科学的に証明されている。 音読する 重要な箇所に線を引く 内容を要約する これらよりもアクティブリコール(想起学習)や分散学習の方が効果が高い。 ところが被験者に主観的な効果を尋ねると… 音読グループ「沢山読んだしテストでいい点取れると思う!😄」 想起学習グループ「ちゃんと思い出せるかな……自信ないや😩」 という感じになってしまう。本当に効果的な学習方法は「できてる実感」が薄いのだ。 これもインテリジェンストラップ(知性の罠)の一種。で、流暢性のトラップとして説明できる。 人間はすらすら読めている知識を既に自分のモノにできていると勘違いする。その結果が音読グループの謎自信である。(流暢性トラップはデマが蔓延る原因の一つでもある。読みやすい単純な文言を繰り返すことで人々に信じさせる) 逆に何故想起学習グループの方が結果が良いのかというと、思い出すという行為が「困難」を伴うものだからだ。 効果的な学習には「望ましい困難」が必要であり、困難があった方が長期記憶として定着しやすい。 東アジアの「困難を当然のものとして受け入れる文化」の影響は思考力を測るテストにも現れているという。 =知的謙遜力は文化の影響を受ける 日本に住んでるだけでちょっと知的謙遜バフがかかるぜ!やったね! 場合によってはこの文化がマイナスに働くこともあるが……こういう側面もあるのか!と希望が持てた。 日本の未来も私の未来も意外と明るいなーとポジティブになれる一冊。 本当に「頭が良い」とは何なのかそれに一つの解答をくれた。 ところで知的謙遜は「無知の知」とも言い換えることもできる。自分の知識の限界を把握すること、そして限界を知ることでもっと学ぼうという姿勢になることが大事だということだ。 ソクラテスは2000年以上前にこの考えに至り、人類は2000年かけてこの哲学を証明したことになる。 🧐うーんさすが三賢人 古典の凄さってこういう所なんだな。 本書に触発されて、積読してた古典の哲学書を読もうとしたけど、やっぱり難し過ぎて本を閉じた。まだ私には早いっぽいな!
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