村崎
@mrskntk
2023年11月10日

文藝 2023年秋季号
文藝編集部
町屋良平「生きる演技」
たぶん私はずっとこの作品を読みたいと思っていたし、でも本当は読みたくないとも思っていた。だって生きている自分が馬鹿馬鹿しくなってしまう、相手に合わせ空気を読み発言全て「演じ」ていると思いながら生きていることを暴かれたと思った。怖い小説だった
〈先ほどまで言っていた本当が嘘に引っ張られてリアリティが歪むのだろう。でもあなたたちはそれでいいかもしれない、でも私たちはフィクションを生きているわけではない現実を生きてるのに?〉
〈完全なフィクションなどありえないように、完全な現実もまたありえない〉
演じることは悪くない、そもそも演じなきゃ生きのこれないよ、でも本心を言おうとすることすら演技に思えることもあって、それがとても怖い、向き合ってこなかったことを真っ向から向き合っている作品に慄いた。どういう着地になるのか気になって一気読みした、ラストの言葉が嬉しかった、よかった