
ふゆのひ
@huyunohi
2026年4月5日

タイタン (講談社タイガ)
野﨑まど
読み終わった
読み進めると、良い意味で作中の世界の当たり前に毒されて、思い返すと本来は驚くべきことも「ふむふむ」位で読んでいたことに驚く。
小説自体もそうだけれど、解説まで含めて面白く読みごたえがあった。
AIの進歩によって、人間の労働がほぼなくなった世界。ほとんどの人間は職に就かず、AIから提供される不便のない生活をおくる。
ここまでAI依存の生活に移り変わるのに、多くの反発があったのだろうなと想像した。未知且つ人間より高度な知能をもつ存在に、恐怖心や懐疑心を持つのも無理はない。
でも、作中でAIは、AI自身の意思で人に牙を剥かなかった。
唯一 人を傷つけた場面も、人の意思でそうなった。
AI技術によって実現された理想の世界についてよりも、むしろその世界を大前提として、物語が展開されていたのが面白かった。
AIの仕事の不調から「『仕事』とはなにか」を中心に物語が進んでいた(と思う)が、「『仕事』とはなにか」を考える道程やその結論には、大方想像し得るもので、気付かされるものはなかったなという印象。(人間と同様のカウンセリングを受けるAIの様子が書かれているから、当然といえば当然なのかも)
まだちゃんと読み取りきれていないことがあるのかもしれない。
ただ、作品・解説双方で、「少し思ってたのと違う」世界を体験できて面白かった。
解説きっかけで考えたことが多く、ほぼ解説の受け売りのような感想になってしまったが、それだけに学のない自分にとってはこういう感想が合うのだなと思う。


