
うーえの🐧
@tosarino
2026年4月6日

読み終わった
⭐️⭐️⭐️
【「自分が悪い」は心を守る盾だった――『なぜ人は自分を責めてしまうのか』が解き明かす自責の正体】
あなたは今、何かにつけて「結局、自分が悪いのではないか」と自分を責めてしまっていませんか? 仕事でのトラブル、人間関係の摩擦、あるいは何もない平穏な日々にさえ、ふと胸の奥から湧き上がってくる「申し訳なさ」や「自分なんて」という感情。もし、その見えない重たい荷物に心当たりがあるなら、信田さよ子氏の『なぜ人は自分を責めてしまうのか』(ちくま新書)は、まさに今、あなたが読むべき一冊です。
本書が提示する最も衝撃的で、そして深い救いとなる事実は、「自責感とは、決してあなたの性格がネガティブだからでも、心が弱いから生じるものでもない」ということです。長年、家族問題などの過酷な臨床現場に立ち続けてきた著者は、自責感を「理不尽な環境を生き延びるために生み出された、究極のサバイバル戦略」であると看破します。
理由もなく否定されたり、気分次第で理不尽に怒られたりする環境下では、世界は文脈(理由)のない「カオス」です。その恐怖と苦痛に耐えるため、人は「自分がダメだから怒られるのだ」という強引な“因果関係”を自ら作り出します。そうすることでしか、精神の崩壊を防げなかったのです。つまり、あなたが抱える「自分が悪い」という苦しい思い込みは、かつてのあなたが、あなた自身の心を守るために必死に作り上げた「盾」だったのです。
世の中には「自己肯定感を高めよう」「もっとポジティブになろう」と説く本が溢れています。しかし、本書はそうした安易な自己啓発とは一線を画します。「愛」や「あなたのため」という言葉の裏に潜む支配の構造を鋭く解体し、なぜ私たちが「自分を責めるように仕向けられてきたのか」を論理的に解きほぐしていくプロセスは、知的な発見に満ちています。
「自分を責める」という行為の背後にある構造を理解したとき、長年背負ってきた呪縛からふっと解放されるような感覚を味わうはずです。
本書は、ただ心を慰めるだけのものではありません。理不尽な世界を生き延びてきたタフさを肯定し、これからを生きるための「新しい視点(パラダイム)」を手渡してくれる、力強い連帯の書です。自分を責めることに疲れてしまった時、ぜひこの本のページをめくってみてください。きっと、思いがけない視座から、心がふっと軽くなる光が差し込んでくるはずです。

