彼らは読みつづけた "異域の人 幽鬼 井上靖歴史小..." 2026年4月6日

異域の人 幽鬼 井上靖歴史小説集 (講談社文芸文庫)
*読書で見つけた「読書(する人)」* 《大体、匈奴という民族は、その正体がよく判っていない。よく判っていて、研究し尽されていたら、恐らく私は何の関心も持たなかったに違いない。判っていないところがあるからこそ、しかも、それがそれを調べて判ろうというような料簡からではなく、その反対のどうか判らないところがいつまでも判らないでいてくれといったような気持から、匈奴のことに関する記述を、謂ってみれば古い壺でも手探るような調子で読んでいたのである。学者の著書に、匈奴についてはよく判っていないがというような文章が書かれてあるのを見ると、私はその度に、そうだろう、そう簡単に判って貰っては困るといった気持が動いて、ひそかに北叟笑みを禁ずることができなかったものである。》 — 井上靖著「明妃曲」(『異域の人・幽鬼 井上靖歴史小説集』2013年4月Kindle版、講談社文芸文庫)
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