
あざらしシンイチ
@reads0106
2026年4月3日
トランスジェンダーの生活史
宮田りりぃ
読み終わった
当事者の語りは探せばネット上で見られるものかもしれないが、複数人の生活史の形でまとまって読めるのが嬉しい。
当然だが一口にトランスジェンダーといっても、個人個人が経験してきたことや捉え方、価値観は異なる。人間数人いれば多様性が生まれるのが自然なのか、性別越境に至るまでの過程やそこにおける自己の解釈が本当に多様だった。
博士論文を書籍化したものなので、少々硬い箇所もあったものの、200p程度と短く、全体的に読みやすい。特に女装者に関する章は興味深く、パートタイム/フルタイムの性別越境という概念は新鮮だった。人によっては、そして所属する社会やコミュニティ、家庭によってはフルタイムの完全な性別移行が難しいことがあり得るのだから、"表"向きには割り当てられた性の規範に沿って生活しつつ、別のコミュニティでパートタイムの性別越境を行ない、過ごすことで折り合いをつける当事者もいるということだ。
トランスジェンダーをめぐる制度的背景や概念的フレームワークなど知らないこともいくつかあり、よい読書体験だった。
とてもセンシティブなトピックかもしれないが、逆に周りの人間の語りを聞きたい気持ちにもなった。