
DN/HP
@DN_HP
2025年3月17日

IQ
ジョー・イデ
読み終わった
読書日記
再読
サウスセントラル出身の日系アメリカ人が描く“フッド”の黒人青年の物語。探偵というよりもこちらはまさにフッドのトラブルシューター。贖罪と亡き兄の存在に促されたその生き方は生業というより宿命みたい。
交互に描かれる解決へと向かおうとする現在の事件と、解決することのない過去の人生。シリアスに沈みがちな主人公と調子が良すぎる腐れ縁のバディ役の元ギャングスタ(料理上手)、その対比。その組み合わせはフッドに惨事も招いてしまうのだけれど、物語にもたらすのはバランスとグルーヴ。なかなか読ませる。
期待していたほどは音楽への言及はないけれど、物語のなかでいちばん流れてキーにもなるのは2Pacのラップ・ミュージック。彼のリリックは数回引用もされているけれど、わたしが読書中に流していたのは一度だけ名前が出てくるNATE DOGGの2枚組のCD(をわたしは2種類持っている)。なかなかハマっていた気がする。ここにあるのもバランスとグルーヴ、と少し違う気もするけれど言ってしまいたい。
「スヌープ・ドッグ、ネイト・ドッグ、ウォーレン・Gが通りを挟んだ真向かいの<VIPレコーズ>でデモテープをつくった。」というまさにフッドの描写を読んで、そういえば彼らの最初のグループ213がジャケットになった雑誌を古本で買っておいた気がする、と思い出す。探してみると実際には彼らも関わるTHA DOGG POUNDの特集号だったけれど、これも日本人が書いたフッドの黒人青年の物語として読んでみると、そこには本を跨いで生まれるグルーヴがあるような気がするのだった。そんな風に“消費”してしまうことには、注意が必要だとも思うのだけど、この読書のフロウはいけてたぽいな、とつい少しニヤついてしまうのもわたしのJust Another Day。ぽい。
あとは、NATE DOGGも海兵隊出身ですね。


