
おさとうトマト
@fptoma
2026年4月20日
星の古記録
斉藤国治
読み終わった
現代の数理天文学を用いれば、日月惑星などの位置または運行の状態は、古代にさかのぼって推算することができる。これを古天文学と筆者は名付け、日本と中国の古典書物を中心に、天文関連の記述の正誤を確かめていく。正しいものを見つければ、当時の人々が星を眺めてその運行に一喜一憂したであろうことを想像する。でも、明らかにでっちあげたと思われるものもある。『漢書』によると、紀元前200年頃に五惑星が集合したとする記載があるが、実際に計算にするとそれはあり得ない。『「どうせ後世になったらわかるものか」と高をくくって』などと言って、その事実を指摘している著者の書きぶりが面白い。漢の時代の執筆者も2000年の時を超えて、でっちあげを指摘されるだなんて思っていなかっただろうに。
本書の後半では古天文学というよりは、過去の天文現象の紹介や、それを記録した人々の奔走した様子が記されている。今ほど交通網が発達しておらず、天文に関する知識も乏しい時代、それこそ人生をかけて理論を構築し、証明するために世界規模で天体の移り変わりを記録していく。そんな先人たちの蓄積があって、その延長線に本書があるんだなとしみじみ思うなどする。



