きろひ "ナチズムの記憶" 2026年4月21日

きろひ
きろひ
@wh_37420
2026年4月21日
ナチズムの記憶
学術寄りのナチス関連の本で参考文献に挙げられているのをよく見るので手に取ってみたが、期待に違わぬ良書だった。農村ケルレと炭鉱町ホーホラルマルクを主な舞台にして、そこに生活した人々の記憶をさまざまな角度から眺めることで一つの時代が復元されていく。 大きな区分けで言えば、社会史とかミクロヒストリーとかに分類されるのかもしれないし、実際、通史では拾い切れない多くの部分に光が当たるのだが、何より心に残るのは著者のひとつひとつの証言に向き合うときの優しさと、残された史料を収集し読み込み位置づけ分析し纏め相対化する学者としての力量のバランスが取れていることだ。 おかげでこの題材に付き物の変に硬直的な文体とはひと味もふた味も違う文章になっていて、時に的確だけど無駄に格式張ってはいない。ふくよかさと鋭さが巧みに織り合わされている。多分に方法的でありながらも、方法に溺れない常識感覚が働いている文と視点が随所に光る。 いつもとは少し毛色の違う、でもやっぱり比較的ちゃんとした歴史の本を読んでみたいなと思っている欲張りなそこのあなた、オススメですよ。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved