オムロちゃん@ゆっくりレモン "プロジェクト・ヘイル・メアリ..." 2026年4月22日

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
アンディ・ウィアー,
小野田和子
プロジェクト・ヘイル・メアリー(上)は非常に面白く引き込まれた一方で、いくつか読むのに苦労する部分もあった。 まずは良かった点、物語の随所に光るバランス感覚。冒頭でビートルズの話題が出た際、SF作品にありがちなロック懐古主義者の押し付けかと身構えたが、実際には物語にしっかり絡む意味のある描写であり好感が持てた。また、ファーストコンタクトの描き方がいい。異星人との交流は読者の想像に委ねるといった投げっぱなしに逃げず、ロッキーというキャラクターを明確に登場させ、言語や文化の壁を越えて意思疎通を図るプロセスが丁寧に描かれている。 主人公に関しても、記憶を取り戻していく過程でよくある自己犠牲を伴う英雄譚になるかと思いきや、科学者としての純粋な好奇心が次第に勝っていく姿がとても人間らしくて魅力的だ。記憶があやふやであるという設定が活きているため、戦友の死を過剰に引きずったり大袈裟なドラマチックさに走ったりしないドライな空気感も、物語のテンポを良くしていた。人が死ぬ描写は面白くない。 一方で、読み進める上で苦労した点は、読解力不足もあるかもしれないが、各国の登場人物が多く、名前と役割を覚えるのに苦労した。なんなら覚えられてない。人物相関図のようなものが欲しい。また、高度な科学的理論や専門用語については、正直に言えば置いてきぼりにされる感覚。物語の進行上すべてを理解する必要はないと分かってはいても、自分の中で噛み砕くまでに時間がかかってしまう。 さらに、現在と過去の記憶が頻繁に交差するため、状況を整理するのも少し大変だった。特許を無効化する裁判や7人を死なせたレデル博士との面会など、過去編でストラットと主人公がどのような順番で動いていたのか、時系列を追うのが少し難しく感じる部分があったのは否めない。ストラットにはダルさを、感じていたが読み進めていくうちに認めている自分がいた。
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