きょーこ "アメリカ 崩壊の地をゆく" 2026年4月22日

きょーこ
きょーこ
@kyo-kom
2026年4月22日
アメリカ 崩壊の地をゆく
著者がほぼ実費でアメリカ現地の共和党支持者や民主党支持者をそれぞれ取材して回った渾身のルポ。 文字の連なりではあるけれど、でも個人的にニュースを見るよりも、よりアメリカの分断の現状やそこで暮らす人達のことを知ることが出来たように思う。そしてそれを通して、今の日本の置かれた状況やこれから先に訪れうるかもしれない未来を見てるかのようでもあった。 「MAGAの人たちだってアメリカがどうなってもいいと思っているわけではなく、何とか良くしようと必死なのだ」 という著者の言葉があるのだけど、このルポに出てくる人たちを見ていると、それがよく分かる。 差別的だったりデマを多用していたりするようなとんでもない政治家を支持しているからといって、その人自身に善良なる部分が全くないわけじゃない。 人はその一面だけではなくて多面的で一貫性のないものだという、それはすごく当たり前なことなのだけど、でも日常の中で人の話を見聞きするとつい忘れがちになってしまう。 こうして本や人の会話をきっかけに思い出したり考えたりして、できる限り肝に免じておきたいなと改めて感じさせてくれる。筆者の思いはもちろん、アメリカの地に住む色んな人の思いや言葉に刺激を受けるルポだった。 この本の中にある言葉や考え方、やり取りの中に、自分の気に入るものが沢山ある。 古いメディアだと揶揄され地方の新聞社がどんどん減る中、経営が苦しくても新聞を作り続けている人たちが「新聞経営は効率的になんてできない。民主主義は効率的なものではないからだ。これは市民としての義務だ」「真実はあなたが見たいものとは、違う。真実はあなたを幸せにしないかもしれない。もし真実があなたを不幸せにするなら、(それをこれから)どうやって解決すればいいのか考えるべき」ということを述べていたのがすごく印象的。 誠実に働いてくれる新聞社やジャーナリストの人たちの存在の有難みを感じたし、そうして彼らが届けてくれる情報や言葉を蔑ろにせずできる限りで拾っていきたいと思いました。自分のできる範囲や保てるモチベーションは限られていますが、こうした重要な仕事を担う人がその職を続けられる環境であってほしい。 また、とあるアメリカ市民の「外に出ないと自分の文化はわからない。……中略……自分が正しいと考えがち。もっと謙虚でなくてはいけない」という言葉も好き。 自分を知るためにも外の世界や他人の言葉にたくさん触れていきたいなと思うなどした。 この本はアメリカの人たちの話であるけど、でもこれは自分からかけ離れた遠い人の話ではなくて、すごく身近な人たちの話なのだと感じた。大切で貴重な一冊。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved