K.K. "鼻行類(289)" 2026年4月25日

K.K.
@honnranu
2026年4月25日
鼻行類(289)
鼻行類(289)
ハラルト・シュテュンプケ,
日高敏隆,
羽田節子
大傑作。奇書の名に偽りなし。本編約120ページ、手元のカバーには¥800(平凡社のページでは定価1100円)とある。やや割高ながら内容には満足。 スウェーデン人エイナール・ペテルスン=ジェムトクヴィストは1941年、日本軍の捕虜収容所から脱走、ハイアイアイ群島に漂着した。そこに棲息していた哺乳類、鼻行類。その分類とキモいスケッチがたんまり載った冗談本である。※本書は全てフィクションです。実在の地名・動物とは一切関係ありません。というあれ。あとがきで判明する事だが、ハイアイアイ群島は核実験(1957年?)の余波で沈没している。 体裁は学術・専門書に非常に近く、一つの種について一通り述べた後、文中にある注釈が章末に纏めてある。順序はわかりやすく、馴染み深いネズミに近い種から始めて、鼻が一つだけの単鼻類。鼻の柔らかい軟鼻類、硬鼻類。鼻が四つ、六つ、三十八つに増えた多鼻類などと進む。最初はハネジネズミみたいなものかなと思い油断していると、そのうち鼻水で獲物を捕らえたり、鼻で飛び跳ねたり、トロンボーンを演奏したりしだす。意外だったのは、鼻は勿論、鼻行類の全般で尾も特徴的な形態を呈している事。トンチキな見た目は図絵が収録されているけど、詳述される生態はかなり注意深く読まなければ振り落とされかねない。反面、最後まで通して読めば、総論の系統樹もかなり整理されて見えてくる。なぜそんな進化をしたのか、目的論の観点から一通り説明してくれるので、サプライズ宇宙人が人類を遺伝子のおもちゃにしたAll tomorrowsよりはまだマシか。目的論もなしにこんな進化してたまるか。 分量もドゥーガルディクソンやレオレオニと比べると控えめなので、ここから並行植物、アフターマンに進むには導入として最適か。
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