みーる "僕は白と黒の間で生きている。" 2026年4月25日

みーる
@Lt0616pv
2026年4月25日
僕は白と黒の間で生きている。
1番センター近本。 当たり前のように毎試合聞こえてくるその名前。阪神タイガース不動のリードオフマン。入団からスランプらしいスランプはなく、一定して高水準の成績を残している。阪神ファンからすれば最も信頼のおける選手の1人である。 大体のスポーツ選手の著作は「あの打席の裏側」や「野球に活かすためのメンタル」など野球中心視点で描かれる。スポーツ選手なのでそのフィールドのことを書くのは当たり前なのだが、本作は少し違う。あくまで野球は材料に過ぎず、「考えること」がテーマとして据えられていた。前々から、野球は長く続けない旨を匂わしてた近本。野球そのものよりも考えるプロセスが何より楽しいというその姿は野球以外のフィールドでも成功を収めていたに違いない。 本作で1番心に残ったのは「揺らぎ」という考え方。問題が発生したとき、目を背けるか解決するかの白黒2択で考えてしまいがちであるが、問題を一旦保留し、「揺らぎ」をつくる。わからない、できないからこそ「揺らぎ」が生まれる。それが力になる。教室に入り生徒に話すとき、9年目でも不安がある。毎日毎日、信頼関係がなくなったらどうしようと不安のなか生きている。そうした状況こそ「揺らぎ」であり、だからこそ話す言葉を考える。不安はネガティブなものではなく、成長するためのエネルギーになりうる。不安だから行動する。不安だから考える。不安やわからなさは幸せに生きるための重要な要素だと思う。 だから、「このパターンはこうだ」と型に固執するのではなく、「わからない」状態で存り続けることが大切なのだと感じた。ましてや相手は人。その中でも子供だ。経験則に縛られず、パターンを作らず、「わからない」の中を楽しんで生きようと思えた。 近本自身も嫌いだったコーヒーに楽しさを見出し、「チカブレンド」を開発するまでに至った。 一見、興味のないものにこそおもしろさが隠れているのかもしれない。少しオープンに世の中と接してみようと思う。 そして、近本の抱える矛盾。野球選手でありながら目立つのが嫌い。野球選手らしさというものはあるが、そうじゃない野球選手がいてもいいのではないか。近本は野球選手である前に近本光司という人間としてどう在りたいかで生きているように思える。それが本当にかっこいい。選手としてもそうだが、人間としても尊敬できるところが多い。ひとつ年上とは到底思えない。 近本の今後がとても楽しみな一冊となった。これからも阪神を支えてもらいたいし、野球選手を引退しても社会に貢献する姿を見せてほしい。それにしても、この本を読んだ次の日に死球で負傷交代…大丈夫かな…
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