
やん
@grilledyangyang
2026年4月27日

ワインとビールの考古学
小泉龍人
読み終わった
ワインとビールの発明と需要の変遷。そして西アジアの遊牧民と宗教への飲酒忌避の派生の考察。盛りだくさんでめっちゃ面白かった!
シカル(古代ビール)飲んでみたい!ホームブルーイング出来たら絶対作るんだけどなぁ。
面白かったメモ
・どちらも神聖な神々に捧げる飲み物として、国家の管理の下作られていたワインとビール。時代と共に両者の価値に格差が生まれる。ぶどうは干さない限り長期保存が出来ないが、ワインにすれば土器に入れておけば保存と輸送が可能。その結果、灌奠の儀式で御神酒に用いられ、王権神授の正当化に活用される。嗜好品としてブランディングされ、高価な贈答品など外交や交易品となる。
・片やビールは長期保存ができず、生産したらすぐに消費しなくてはならない。また、メソポタミアの支配者(エンシ)にとって、大麦の管理は至上命題であり、都市の支配は大麦の管理責任者だった。古代メソポタミアでは、ムギ(とそれらから作られる加工品)は貨幣としての役割も果たしていた。そのため、ビールは都市にとってなくてはならない身近な飲み物として市民に普及し、大衆化していった。
・メソポタミアのビールの神格は、女神ニンカシ。古バビロニアでは、居酒屋は女性が経営していた。都市では貨幣としての銀だけではなく、オオムギも使われていた。また、居酒屋の女主人は、市内の治安維持にも責任をもっていた。
・ヘレニズム以降、ギリシア人は意図的にビールを無視し、課税することでワイン文化を浸透させようとしていた?
・ギリシア神話の酒の神ディオニュソスの起源は、トラキアやフリュギアである説がある。ローマに渡るとバッカスとなったワインの神は、祭儀において乱酒、乱行、乱交で死者が出るほどの祭りで、ローマ元老院は秩序を脅かすものとして禁止令を出した。また、ディオニュソス教団から生まれたオルフェウス教団は、霊魂の不滅を中心とした秘儀が行われた。ここに、バッカスはワインの神という役割から脱皮し、救世主、死後の生命を司り、魂の救済の神になった。反体制と見なされた信仰は、帝国の拡張と共に、ワインを用いた儀式と霊魂の復活の教義に変質した。つまり、キリスト教の聖餐に大きな影響を与えたのではないか。