
人工芝
@_k55y
2026年4月26日

虎を追う (光文社文庫)
櫛木理宇
読み終わった
思わず「なんだこの作品は」と口にしてしまう
けれど、その戸惑いこそが最大の賛辞なのだと思う。
「愛は盲目」という言葉があるように、愛はときに人を救い、ときに狂わせる。そこに保身という感情が絡んだとき、人の人生はさらに大きく歪んでいく。愛し方や守り方を少し間違えただけで、こんなにも深い悲劇が生まれてしまうのかと、胸が締めつけられる。
登場人物それぞれの生い立ちが、ここまで人を歪ませてしまう現実。そして、その歪みは周囲へと伝播し、影響を与え、また新たな歪みを生んでいく。
こうして悲劇は繰り返されるのだろうか。その果てに、親への復讐という理由でその選択にすら手を伸ばしてしまいかねない、人間の弱さと恐ろしさが静かに迫ってくる作品だ。
