"ザリガニの鳴くところ" 2025年3月19日

@yulan
2025年3月19日
ザリガニの鳴くところ
ザリガニの鳴くところ
ディーリア・オーエンズ,
友廣純
カイア。彼女という人間は自然そのもので──というより、見事なまでに完全に、湿地の生態系のなかに生きる人間であった、と表現してみる方が腑に落ちる。訳者あとがきのまとめが良くて助かっている。彼女は”ただ拍動する命“として生きていたのだと。 詩人が一番思いもよらなかった、これは私たち読者へ向けての、カイア(の生き様)とは別の……上手く言えない……誰かという生の証だとかシグナルでさえあるように思う。いやそうか私たち読者は、カイアという人間と、カイアの創作物を知ったんだ。それは人生や物語や時間の枠を超えて心を揺さぶり、心に傷を残すもの。まるでこの小説のように。 中盤は彼女の生き様や感情を追うことが辛くもなったが、見事にひっくり返された。最後の二文の余韻が好き。
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