"魔剣天翔 Cockpit o..." 2026年4月26日

@s_ota92
2026年4月26日
魔剣天翔 Cockpit on Knife Edge
p11 「元来、「美しい」という形容は、無駄なものを排除した「洗練」を示すことが多いようだ。」 p14 「どんなものにでもいえることだが、作られる時間に比較すれば、ものが壊れる時間はとても短い。一瞬だと表現しても良い。」 p14 「最初に見た形は、やがて、もっと凄まじい形に変貌し、そして、気がつくと、まるで同じなのだ。」 p16 「自分もこういう割り切った子供だったので、私は、この少年が好きだ。まだ彼の「形」は見えないけれど。」 p16 「合理は不合理を生み、不合理は合理を飾る。」 p18 「木の葉は偶然にも、私の足許に舞い降りる。こんな奇跡的なことが無限に発生して、日常を形成するのだ。」 p22 「気候は、ほどよく冷えたプレーン・ヨーグルトのように清々しく、高い空は、宝塚の男役くらい気障で、べったり、こってりと青一色だった。」 p30 「ピロティの前で、小鳥遊練無は、関根杏奈と別れた。」 p36 「「割引券じゃないよ。招待券だからね。間違えないで。」」 p42 「「Angel maneuver」」 p54 「「関根朔太は、向こうでフランス人の娘と結婚したの。子どももできた。」」 p54 「「そう、でも彼女は子供を産んですぐに亡くなった。それも、自殺じゃなかったのかって噂がある。やっぱり不運につきまとわれたのかもしれないしね。とにかく、エンジェル・マヌーヴァは、以来、行方知れずというわけ。」」 p61 「世界中の人間の中でも、この若い二人は彼女の最も身近な存在だったけれど、それでも、深く関わりを持つ気はなかった。」 p63 「「いえ、飛行機のエアロバティックス・ショーです。」」 p63 「「嬉しい。へっ君も喜ぶわ。」」 p69 「「いや、パイロットの友達が欲しいから。」「関根さんだけど……。」」 p71 「紫子は、父親が模型飛行機マニアであったため、その影響で子供の頃からその手のおもちゃでよく遊んでいたらしい。」 p73 「「あかんあかん、て言われると、よけいに好きになってしまう若い二人。周りが邪魔をするほど、どうしようもなく親密になっていくんが、恋の道理ちゅうもんや。ほらほら、恋敵とかがいる場合なんか、もうごっつい驀進やろ?」」 p81 「ボディには、グレィの文字で、ANGEL MANEUVERSと記されている。」 p87 「「あの倉庫みたいなもの、何ですか?」」 p87 「メガネの女性が保呂草の顔を覗き込んだ。」 p88 「壁に貼られたスナップ写真のうち、大勢が集合している写真では、いつも彼が中央に立っている。このときは、そこまでは気にもしなかったのだが……。」 p99 「「このまえの日曜日だったわね、へっ君がお世話になりました。どうもありがとう。」」 p100 「「明日は、フライト・ショーね。」紅子が言う。「へっ君がとても楽しみにしているの。」」 p101 「「ああ、ざる蕎麦ね。」紅子はにっこりと微笑んだ。」 p105 「「乙女心と秋の空。」紫子は呟く。「溜息、メランコリィ。」」 p115 「ヨワキココロヨリ スカイボルトヲイダク ソノモノノチルハサイワイ ヒトハチリテマケンハトム アタラシキチヲハサキニソソギ テンクウニミルユメハサラニトオキ」 p123 「それではまるで、堕ちる場所が決まっているみたいだ。」 p129 「へっ君は理解しているのだろうか。質問をしないところをみると、納得しているようだった。もしかしたら、昨晩にでも、予習してきたのかもしれない、と練無は思う。」 p130 「「関西擬音推進委員会。略してK・G・B。」」 p131 「そっと優雅に片手を差し出して、紅子は空を指さした。そういった上品な女性的な仕草と、話している工学的な内容がまったくアンバランスで、人格として一致していなかった。」 p132 「「どうしてお母さま、そんなに詳しいの?」へっ君がきいた。 「そこそこ、へっ君、そこ、つっ込まな!」 へっ君、頑張れ!」 p133 「「そうよ。好きな人が教えてくれることって、もの凄くしっかり頭に入ってしまうものなの。一度聞いただけで絶対に忘れないわ。だから、もし、しっかりと覚えたいことがあったら、人でも本でも、その相手を好きになることね。」「それは、どうして?」「さあ……、どうしてかしら。きっと、全部の自分が一斉にそちらを向いているときだからじゃないかな。」「いつもは、全部の自分はあちこち向いているの?」「うーん、寝ている人もいたりするかもね。」」 p138 「「弱き心より、スカイボルトを抱く、その者の散るは幸い、人は散りて魔剣は富む、新しき血を刃先に注ぎ、天空に夢はさらに遠き。」」 p142 「ANGEL MANEUVERS という文字が胴体側面に読めた。」 p153 「一瞬。どこかで小さな爆発音がした。」 p171 「「本当に堕ちやがった!」」 p175 「「ここから、一刻も早く逃げたいんだ。お願い、なんとかしてくれない?」」 p177 「2人が森の中へ足を踏み入れたとき、鈍い爆発音が鳴り響き、前方の森の中が一瞬赤く光った。」 p178 「「リーダは?」彼女が近づきながら、確信を疑問で払いのけようとして、言葉にした。」 p179 「思わず、目を瞑る。瞑ると、目が熱くなる。」 p184 「関根杏奈が無事であってほしい。頭にはそれしかない。」 p187 「「あ、そうかそうか。はは………、私ね、関根杏奈が、実は男なのかって、いま、思っちゃった、」」 p188 「祖父江七夏が黙って立松の頭を叩いた。」 p189 「しかし、そういった処理は、すべて後半戦のこと。それよりもさきに、とんでもない前半戦があったのだ。」 p192 「だが、それは間違いなく穴だった。」 p194 「七夏の知っている範囲で、これを吸っているのは、保呂草潤平だけだ。」 p196 「七夏は黙って立松の頭を叩いた。」 p199 「「保呂草さんの友達なんだよ。」」 p201 「「だって、西崎さんを撃ったんでしょう?」」 p204 「「こういうのってさ、ホテルが前にあるか、後ろにあるかで見分けるんだよね。」」 p205 「ただ、ひっかかるのは……、煙草の銘柄。そして、練無が話していたこと。おそらく単なる偶然だとは思うが……。」 p209 「「体力があれば相手を殴る。頭が良ければ相手を騙す。」 「銃を持っていたら、それで威嚇する。私の躰が女だったら、私はそれを利用する。全部同じこと。人よりも有利な状況を作って、人から何かを奪い取る。もう少し穏やかにいえば、交換する。それがビジネスでしょう?貴方が、今、ここで寝たいと言うならOKだよ。足の痛いのくらい我慢する。その代わり、私を無事に逃がして。」」 p210 「「西崎勇輝と関根朔太の交友は相当なもの。ほとんど兄弟といっても良いくらいの間柄なの。関根は、西崎のチームに全面的に出資をしているし、娘もチームの一員。」」 p211 「「エンジェル・マヌーヴァを。」」 p212 「「泣くこと。」」 p215 「「まずいな」彼は呟く。よりにもよって……。」 p223 「「そう、結局は、私が悪いんよ。期待してる私の方が。」」 p223 「「太陽と月を比べているようなものね。」」 p233 「「美人なんだ。」」 p237 「レンタカーの運転席のシートの下に、新しいガムテープが残っているはずだ。だが、その意味には誰も気づかないだろう。」 p240 「「斉藤静子です。はじめまして。」」 p242 「残念ながら、当の関根画伯は不在だった。誰も彼の所在を知らないようである。」 p246 「「別れてると言いだしたのは彼女の方で、すべての決断は彼女がしたんだ。僕は、言われるとおりにしただけだよ。」」 p248 「死ななくても、生きていても、人は、決して、もとへは戻れない。死ななくても、生きていても、語れないことがある。まるで、毎日毎日、死んでいるようだ。」 p252 「「弱き心より、スカイボルトを抱く、その者の散るは幸い、人は散りて魔剣は富む……。」」 p254 「「どこか別のところへ行くようだったら、こっそり機会を見つけて、早めに警察に知らせること。わかった?」」 p259 「「セロテープだけが心残りだな。」紅子はそう呟き、ウイスキィのボトルを片手に通路を歩きだした。」 p261 「女はボトルを押し返した。」 p261 「「メリー・クリスマス!」紅子は大声で叫ぶ。」 p263 「たぶん、間違いない、保呂草潤平だ。」 p268 「チハマケンニツガレタ」 p271 「「人の命なんて、大したものではない。」杏奈は囁くように言う。彼女はそこで目を瞑った。「命をかけるものが、あるからこそ、人は生きているんです。」」 p272 「「前からですね?」「後ろからだ。」」 p273 「「わからん。うーん、ガラスのカプセルみたいなもんだな。形はシリンダ、つまり円柱体。直径は約五ミリ、長さは約三十ミリ。」」 p293 「「あ、ほら、5Aって書いてありますよ。」」 p300 「「それって、凄いプライベートじゃない?」「いや違う。これはソシアル。」」 p301 「「僕の人生のほとんどは、あの人の影響だと思うな。」」 p301 「「例のあんなファッションも、彼女の影響なの?」」 p302 「「動詞は?目的語だけ言うなってば……。」」 p303 「「こういう時間ってさ、なんか夢が現実かわかんなくなって、気分がハイになってたりするから。いつもと違う人格入っていたりするし、あとあと恐いんだ。気をつけなくっちゃだもん。」」 p307 「目の錯覚と同じように、思考の錯覚というものがある。」 p311 「いろいろと考えることがあったが、一番考えたいのは、関根朔太の居場所についてだった。」 p316 「まず、関根朔太にどうしても会っておきたい。」 p323 「「えっと、関根朔太先生ですか?」」 p327 「「よう勉強すんな、あの子は。」紫子が腕を組む。「小学生にしとくんがもったいないで、ホンマ。」」 p328 「この世のもの、何もかもがつまらない、と言いたげな表情だった。」 p332 「表札には「関根」とだけある。」 p334 「白人である。」 p338 「「あの子?」」 p338 「「エンジェル・マヌーヴァです。」」 p340 「「西崎さん以外は。」女はそこで微笑んだ。それは、とんでもなく優しい笑顔だった。僅かな濁りもなく、どんな躊躇いも、陰りもない、純粋な明るさだ。」 p341 「「もしかして、貴女は……。」「私が、関根朔太です。」」 p342 「「あの人の才能を、世界で最初に見抜いたのは、この私なんですよ。とにかく、もの凄かった。既に完璧だったの。洗練されていたし、どこにも無駄がなかった。完全に完成されていたんです。ただもう、あまりに斬新すぎて、新しすぎて、なかなか見てもらえない。それが唯一の欠点だっただと思います。凡人に手を差し伸べるようなサービスがまったくない。そんな絵だったんです。関根さんは、他人の絵を見ないから、絵の歴史も、現在の動向も、まるで知らないの。自分以外の絵に対する興味を既に失っていたわ。つまり、自分と社会のギャップを理解しようとさえしないんですよ。もちろん、それが天才なのかもしれませんけど……。」」 p344 「「私は、関根さんと結婚することにしたのです。彼は、とても優しい人でした。本当は……、私は彼が好きだった。嘘でも誤魔化しでもありません。そう、だって、彼の才能を誰よりも尊敬していたし、愛していたのです。」」 p346 「「私たち、関根さんの骨をね、内緒で、私のお墓に埋葬しました。私の名前の墓標の下に、天才は今でも眠っているのです。」」 p347 「「ええ、ですから、今では私が関根朔太だといっても良いのです。私が彼になり代わって描いているの。私が彼のサインをするんです。え?エンジェル・マヌーヴァですか?時間がかかりましたけれど、もちろん、取り返しましたよ。」」 p348 「「ええ、エンジェル・マヌーヴァは、私たちを救ってくれたのです。私たちを生かしてくれたのです。魔剣だなんて、とんでもない。」」 p348 「「どれだけ多くのものを、彼から授かったかしれません。だけど、私には、彼にお返しできるものが何もないのよ。だから、ただこうして、毎日毎日、彼の絵を描き続けて、少しずつ少しずつお返ししているのです。」」 p349 「彼女にとっての関根朔太が完全にこの世から消えたから……。」 p350 「「何がいけないの?」彼女は一点の曇りもなく微笑んだ。「私はあの子を産みました。私はこの絵を描きました。私は今まで生きてきました。それらは、私が影響を与えたもの。私が影響を受けるものではありません。」」 p350 「いったい、どうすれば、良いのか。目的は何だったか?エンジェル・マヌーヴァ?」 p350 「「エンジェル・マヌーヴァは、今どこにあるのですか?」彼はきいた。「さあ、どこかしら。」彼女は優しく微笑んだ。「そんなことを、簡単に貴方にお話しできると思います?」」 p351 「終結した人生が、彼女の瞳の中にはあった。それを揺がすことは、不可能。人の愚かさのすべてを許容した神の手が、最後の最後に、保呂草の片手を握った。暖かい、軟らかい、優しい、小さな手だった。」 p351 「「ありがとう。」彼女はそう言った。「よくいらしてくれました。」」 p352 「彼女もまた、間違いなく天才だ。名前のない天才。だからこそ、天才を見抜き、天才を受け継ぐことができた。奇跡だ。紛れもなく奇跡だ。」 p356 「「瀬在丸紅子さんを呼んでもらえますか?」」 p362 「七夏は立松の頭を叩いてから、階段を駆け下りた。」 p364 「七夏の娘と、紅子の息子とは、血がつながった兄妹なのに……。」 p366 「いつも感じることだが、瀬在丸紅子という人格は、本当に捉えどころがない。」 p368 「フランスで結婚した関根朔太が持っていると噂されている美術品、またの名をエンジェル・マヌーヴァ。時価にして十億円以上というこの秘宝が、今回の事件に関係しているのか……。」 p374 「血は魔剣に継がれた」 p374 「その人が、各務亜樹良さんなんだ……。」 p375 「「あ、そんなことはどちらでも良いの。」」 p375 「「貴女、国文科だったのね。」」 p378 「紅子の感情は閉じている。他人に向けて開かれていない。」 p379 「「簡単なことよ。」」 p383 「紅子は林にお土産があると言い、洒落た紙袋を膝にのせている。」 p389 「「私ね、最近、ほんの少しだけ、この子のお姉さんが入ってますの。」」 p390 「「もう、終わります。」紅子が言う。」 p391 「「面子が揃った。」鬚のない保呂草は、額の髪を掻き上げ、片目を一度瞑った。「麻雀ができるな。」」 p394 「「はめられた?」」 p400 「紅子は紙袋の中から一本の瓶を取り出した。それは、ウイスキィのボトルだった。」 p404 「「そんなつもりはありません。本当に、もうすぐ終わります。あと五分……。はい、結局、いろいろ考えて導かれる結論は、やはり、西崎さんが前の座席に乗っていた、というものです。しかし、2番機の前の座席には斉藤さんがいる。ここで西崎さんと斉藤さんを交換しても意味がありません。残る可能性は、一つしかない。西崎さんは、2番機には乗っていなかった。そう、彼は3番機に乗っていたのです。」」 p405 「つまりは、自然に咲く花の機能とまったく同様だった。」 p408 「「正しい発音は、フューズ。つづりは、FUSE。」」 p410 「「布施さんを撃ったのは……。」彼女は小声で言った。「関根杏奈さんです。」」 p415 「「注ぐか……。」」 p419 「「紅子さんが、さっき、言ってたこと……。」練無は泣きそうな顔だった。「どういうことなの?」」 p422 「「お願い、だから、ついてこないで。私は……、そんな……、立派な人間じゃない。あんたが、思っているような……。」」 p425 「紫子が練無を抱き締めていた。」 p425 「静かな夜だ。静かな夜は、いつだって、誰かを泣かせている。」 p427 「「そうそう、最近ね、新しいメニューが加わったんだよ。」紅子が歩きながら言う。「チキンの悪魔風ステーキ。」」 p427 「「あれ、紅子さん、N大に出入りしてはるの?」紫子が尋ねる。「うん、ちょっとね、いろいろおつき合いがあって。」」 p428 「「最初の脅迫状に各務亜樹良さんの名前を織り込んだのは、どなたかしら?」」 p429 「「エンジェル・マヌーヴァ。」」 p429 「「お墓の中かしら。」」 p431 「彼女は微笑む。その一瞬の形こそ、逃してはならないもの。この形を目指して……。」
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved