miumiu "カフェーの帰り道" 2026年4月27日

miumiu
@__rze__
2026年4月27日
カフェーの帰り道
めったに文芸系の小説は読まない。主人公に感情移入しやすくて、悲しい展開だと普通に落ち込むから。なので、何ヶ月前の自分がどうしてこの本を図書館で予約したのか、もう思い出せない。たぶん大正時代の女給がどんな生活をしていたのか気になったんだと思う。 「西行」と呼ばれたカフェで働いていた女性たち、それぞれの人生を描いた短編集。最初は歴史的な知識として「当時の女性はこんな暮らしだったのか」と興味本位で読んでいたけど、時代は移り変わり、やがて戦争が始まってしまう。話はどんどん重くなっていくのに、逆に引き込まれていって、何度も涙が止まらなかった。 一番印象に残ったのは、作家の夢を諦めて生活のために女給に戻ったセイと、自分の理容院を持つ夢に向けて努力していたのに徴兵令が届いてしまった向井が別れるシーン。これから戦争に行くのはきっと怖いはずなのに、それを必死に隠して平然を装っていた向井が、ついにセイの前で取り繕えなくなって、「俺を書いてくれ」と頼む。 そしてセイは、もうずっと書くことに自信が持てなかったのに、震えながらも強がって「なら、いいわ。書いてみる」と返事した。この一行がなぜかすごく刺さって、読んでいて思わず涙が出た。 正直、完全に史実に基づいた小説ではないから、登場人物たちはある程度救いのある結末に向かっていく。それでも、今この瞬間にも起こっている、あるいはこれから起こりうる戦争のことを、どうしても考えてしまう。
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