ゆき
@yu-ki
p95
「四色問題は証明された。すべての地図は四色で塗り分けられる」
「すべてじゃない」
「そうだった。平面または球面上、という条件つきだったな」
それは数学界において最も有名な問題のひとつだった。『平面または球面上のどんな地図も四色で塗り分けられるかどうか』
ゆき
@yu-ki
p298
「P≠NP問題というものだ。自分で考えて答えを出すのと、他人から聞いた答えが正しいかどうかを確かめるのとでは、どちらが簡単かーー有名な難問だ」
〜
「いいか。石神は一つの答えを君たちに提示した。それが今回の出頭であり、供述内容だ。〜それをそのままはいそうですかと受け入れることは、君たちの敗北を意味する。本来ならば、今度は君たちが、全力をあげて、彼の出した答えが正しいかどうかを確かめなければならない。君たちは挑まれているし、試されているんだ」
ゆき
@yu-ki
p312
「ガラスに映った姿を見て、奴への疑いが生じたとでもいうのか」
「彼はこんなことをいったんだ。君はいつまでも若々しい、自分なんかとは大違いだ、髪もどっさりあるーー〜なぜならあの石神という人物は、容姿など絶対に気にする男ではなかったからだ。人間の価値はそんなものでは計れず、それを必要とするような人生など選ばない、そんな今さらどうしようもないことを嘆いている。それで僕は気づいたんだ。彼は外見や容姿を気にせざるをえない状況にいる、つまり恋をしているのだとね。それにしても、なぜこんな場所で、唐突にそんなことをいいだしたのか。急に外見を気にしたのか」
ゆき
@yu-ki
p322
このことをあなたに教えるのは、じつに心苦しい
石神がそのことを、絶対に望んでいないからです。〜それでと僕はあなたに打ち明けずにはいられない。彼がどれほどあなたを愛し、人生のすべてを賭けたのかを伝えなければ、あまりにも彼が報われないと思うからです。彼の本意ではないだろうけど、あなたが何も知らないままだというのは、僕には耐えられない
ゆき
@yu-ki
p344
二人を見た時、石上の身体を何かが貫いた。
何という奇麗な目をした母娘だろうと思った。それまで彼は、何かの美しさに見とれたり、感動したことがなかった。芸術の今もわからなかった。
ゆき
@yu-ki
p344
花岡母娘と出会ってから、石神の生活は一変した。自殺願望は消え去り、生きる喜びを得た。二人がどこで何をしているのかを想像するだけで楽しかった。世界という座標に、靖子と美里という二つの点が存在する。彼にはそれが奇跡的のように思えた。
〜しかし風に乗って入ってくるかすかな声は、石神にとって最高の音楽だった。