ピエ "るん(笑) (集英社文庫)" 2026年4月30日

ピエ
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@pie_202
2026年4月30日
るん(笑) (集英社文庫)
しばらく積んでいたところ、手持ち無沙汰な折にふと手に取ったら、面白くて一気に読み切ってしまった。さすがは酉島伝法… いわゆるスピリチュアルが世間の常識となり、科学や医療が忌避されるようになった日本が舞台。 スピ系の「あるある」や「ありそう」がこれでもかと描写され、なかなかキツいものがある。 ただ、最後に医師でもある久坂部羊による解説を読むと、「医学」の歴史においても、今から見ると「野蛮」な治療法が数多く行われてきたことの指摘にハッとする。今の我々が「科学的」だと信じているものも、数百年後にはトンデモだスピだと笑われているのかもしれない。 酉島は現実にある社会構造を、SF世界の別のものに仮託して描くのが本当に上手いが、本作もその描写力が発揮されていた。現実にある言葉の漢字を置き換えて読者に作中での意味を読み取らせる、解説不要のオリジナル用語たちも健在である。 更に今作では、人々が疒を忌み言葉として避けたり(病院→丙院、など)、逆に語り手の言葉が疒に侵食されていったりと、漢字で遊ぶ楽しさもありつつ、言葉が穢されていくようなおぞましさも感じてくらくらした。酉島の作品は、つくづく小説でなければ描写できないなと思う。
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