Haruhito "大人の流儀" 2026年4月29日

大人の流儀
大人の流儀
伊集院静
Haruhito
Haruhito
@haruhito27_reads
P25 私の父は、私が後半生を作家として生きたいと話すと、「つまらぬことを、独り仕事が……」と嘆いた。父は事業をやり遂げ、社員と共に働き、成長することが大人の男の仕事であると信じていた。この頃、つくづく父の考えが正しいと思える。
Haruhito
Haruhito
@haruhito27_reads
P96 タクシーは身体も声も大きな私の前で停車した。二人と視線があった。私も急いでいたが、少年の目を見た時に何となしに、二人を手招き、「どうぞ、気付かなかった。すみません」と頭を下げた。 あの時の立場が逆で、私が少年であったら、やつれた男の事情など一生わからぬまま、いや記憶にとめぬ遭遇でしかないのである。それが世間のすれ違いであり、他人の事情だということを私は後になって学んだ。人はそれぞれの事情をかかえ、平然と生きている。
Haruhito
Haruhito
@haruhito27_reads
P151 「時計を見て人を判断する者もいる。大事に使いなさい」 私はその時計を大切に仕舞っておいたが、或る時、どうしても打ちたい競馬があり、近所の質屋に持って行った。 「いかほど御入用で?」 「五万円あれば」 主人はそっと時計を戻して言った。 「五万円どころか、五百円にもなりません」 質屋の帰り道、私は笑い出した。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved