
RIYO BOOKS
@riyo_books
2026年5月2日

赤い百合 上 (岩波文庫 赤 543-7)
アナトール・フランス
読み終わった
十字架が先頭を進んできた。これは慈惠會の信徒たちが覆面をかぶって、松明を手に聖歌を誦しながら、死者を墓場に運んでゆくところだった。イタリアの風習にならって、行列は夜になってから足早やに通ってゆくところだった。十字架も柩も旌旗も、人通りのまれな河岸を飛び跳ねるようにして通って行った。ジャックとテレーズとは塀のもとに身を寄せて、足早やの葬列をやり過した。僧侶や詠歌隊の稚兒や覆面のひとびとが過ぎ、この快樂の地上では迎されぬ、邪魔者の《死神》が一緒に驅けて行った。

