しんどうこころ "河明かり" 2026年5月1日

河明かり
河明かり
岡本かの子
実に清々しい。 物語に命が宿っている。人物に血が通っている。 重い読後感の作品が続いていた中で、この軽やかさは鮮やかだった。 しかしそれは単なる心地よさではない。人を深く見つめ、その内側を言語化しきる強さに支えられている。 女性であること、その生の実感をここまで自然に、そして力強く描き出せるのは、作者ならではだろう。 これは誰かに薦めたくなる作品だ。 最近、女流作家の作品を通して、自分の母の姿がありありと見えるようになってきた。 本作にも、子を見守る母のような視点がある。ときにおせっかいであり、ときにやさしく、そしてときに強く、頼もしい。 美しさの定義が、自分の中で変わりつつある。知と強さを内面に秘めたものこそ、本当の美しさなのかもしれない。 ※候補に出てこなかったため、Kindleの青空文庫版で登録したが、わたしが読んだものは岩波版。『河明かり・老妓抄』と二作品を収録。
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