
いちのべ
@ichinobe3
2026年5月2日
十戒
夕木春央
読み終わった
タイトルだけは前々から知ってて、たまたま図書館で見かけたので借りて、読み終えてReads読んでから『方舟』が先だと知った……多少ネタバレ踏んでしまったが、せっかくだし『方舟』も読んでみよう。
亡き伯父の所有していた孤島には「大量の爆弾」が残されており、巻き起こる殺人、そして犯人から与えられる奇妙な「十戒」……という凝った舞台仕立てから、導き出される推理、そして真相、という構成は面白かった。
ただ、「十戒」が出てきてから登場人物同士の接触は少なめ、それ以前も主人公は性格・立場的に他の人物との交流が薄かったので、キャラクターが立っている/識別しやすいのが綾川さんと主人公のお父さんくらいで、それ以外は「誰が何の人だっけ?」とあやふやなまま殺されてゆくのをただ見てる感があった。
……が、読み終えた今になって考えると、それが語り手である主人公にとってのリアルな目線であり体感だったのかもな〜。初めて会う知らん大人たちと島に閉じ込められ、大人たちがどんどん殺され、そして彼女にとって最も強烈で鮮烈な存在が「綾川さん」である(そして家族である父親のことはよく知っている)……これはそういう物語でもあるよな。
真相を、そして主人公が「語っていなかったこと」を知ってから振り返ると、この物語は、特異な設定のクローズドサークルであるだけでなく、あまりにも「わたし」と「綾川さん」の話だったんだな〜と。しかもここで生まれた「秘密」を守るという絆は、生きている限り永遠に続いてしまうっていう……それは絶望的にも、禍々しくロマンティックな関係性にも見える。


