

いちのべ
@ichinobe3
何でも雑多に読む。
- 2026年4月11日
読み終わった静かな小さな村、二つの有力な家、二十年前の殺人、村のロメオと呼ばれる美男、醜聞の噂、階級差別、村の出身でもある今話題のグラマー・ガール、そして何より、村に伝わる手毬唄の見立て殺人と、扇情的な要素モリモリ。 そのうえ冒頭に『鬼首村手毬唄考』が示されるため、読者は最初の殺人から手毬唄の見立てであると気づけるが、金田一耕助はなかなかその情報を得ることができない、という状況にヤキモキしたり、 > あとになってそのときの情景を思いうかべるたびに、金田一耕助はいつも肌に粟を生じるのを禁じることができないのである。(p56) といった文章を挟むことで、その場面を印象づけさせられたり、先を読みたい、この描写が何を意味しているのか知りたい、と読者の好奇心を掻き立てるのが横溝正史は上手いことだなあと思う。 そして時系列通りではなく、気になる作品を読んでいるだけなので、金田一耕助と磯川警部、こんなに仲良くなっているのか……と驚いた。旅館で枕をならべて寝たり、捜査本部でうとうとしたり、軽口を叩き合いながら自転車に二人乗りしたりしていて、ちょっと楽しそうな時すらある。エピローグも小粋だった。 - 2026年4月11日
読み終わった> だから、かれにとっては、どのような変わった恐ろしい死体でも、もう免疫になっているはずだったが、それでもやっぱり犬神家の事件で、はじめて、あの変てこな殺人にぶつかったときには、呼吸をのんで立ちすくまずにはいられなかったのである。(p107) 横溝正史、毎度こういう煽りが上手いし、その期待を超えるものを浴びせてくれる…… > ずしん──と、持ちおもりのする珠世の体温のあたたかさ、新鮮な果物のような処女の芳香、なめらかな肌の下に脈々と通う血管のうずき!(p199) そして「見る対象」もしくは「獲物」としての美女を描写する文章の気合いの入り方が凄い。現代の感覚からすると、急に官能小説みたいな描写入ったな!?という違和感があり、ちょっと笑えてしまう。 いくつか横溝正史作品を読んでみて、ハウダニットの驚きと、ホワイダニットの悍ましさが面白いな〜と感じる。謎が解かれる爽快感というより、欲望や情念が暴露される愉悦、みたいな。 そして太田さんのモノマネはだいぶネタバレ要素でもあったんだなと理解できてよかった。 - 2026年4月10日
- 2026年4月9日
舞姫森鴎外読み終わった教科書には全文が載っていたわけではなかったため、数年前に読んで「何だこの胸糞悪い話は!?」「エリスに話す勇気出ないからって寒い中うろついて寝込むってさぁ……」「『されど我脳裡に一点の彼を憎むこゝろ今日までも残れりけり。』じゃねーよ!お前だよ!」と憤ったし、ストーリーだけ見るならあまりにも教科書向けではないよなと今回あらためて思った。 しかしまあ何度読んでもこの、雅文体の美しいことよ!冒頭の文章は暗誦するほど好きだし、エリスが初めて家に来たときの描写も素敵。 > この恩を謝せんとて、自ら我僑居に来し少女は、シヨオペンハウエルを右にし、シルレルを左にして、終日兀坐する我読書の窻下に、一輪の名花を咲かせてけり。 - 2026年4月9日
セメント樽の中の手紙葉山嘉樹読み終わった講義で取り上げられる作品のうち、唯一、教科書では読んだことのなかったもの。 セメント樽から釘付けされた箱が出てきて、そこからボロに包んだ紙切れが出てくる、果たしてその内容とは。 その時代や当時の労働環境から遠い現代に身を置く者としては、ある種のホラーやミステリーのようにも思える展開だったし、学生時代に読んでいたら絶対に忘れられなかっただろうなと思う。 いや、本当に「遠い」のか? 肉体を直接損壊されたことはないが、労働の場で尊厳を傷つけられたことも、長時間労働で心身をめちゃくちゃにされたこともある労働者なのだ、自分は。 だから、与三のこの言葉は、女工の手紙を読んでそう言いたくなる気持ちは、何となくわかってしまうのだ。 > 「へべれけに酔っ払いてえなあ。そうして何もかも打ち壊して見てえなあ」 - 2026年4月9日
Jホラーの核心鈴木潤読み終わった取り上げられたJホラー作品のネタバレが含まれるので、未視聴の気になる作品がある場合は注意。 Jホラー黎明期から最新作まで、幅広く多くの作品を取り上げ、《ビデオ》《家》《女性》《都市伝説》《フェイクドキュメンタリー》などのキーワードから分析されている新書。 お気に入りの作品について読むことができて嬉しい反面、作品数が多い分、どうしてもそれぞれの分量が短めで、ちょっと分析に物足りなさを感じた。 とはいえだからこそテンポよくサクサク読めたし、Jホラー作品案内としても参考になった。 - 2026年4月8日
ちょんまげ手まり歌上野瞭気になるReadsの新着で見かけて。 この復刊シリーズの、鈴木悦夫『幸せな家族』を以前読んで面白かったし、 > 日本児童文学の歴史を変えた衝撃のディストピア×時代小説。 という煽りがあまりにも気になる。 - 2026年4月8日
完璧じゃない、あたしたち王谷晶買ったお試しで読めた『小桜妙子をどう呼べばいい』が面白かったので購入。 (妙子とは異なる理由ながら)自分を表す的確な一人称とは?と迷宮に迷い込んでいた思春期の自分に、夏実クラーク横山さんのこの軽やかな言葉を聞かせてあげたかった。 > 「いっぱいあるから、気分で好きなの使うのね。『オレ』の気分のときとか、『わたくし』の気分のときとか、あるでしょ」(p12) - 2026年4月8日
- 2026年4月8日
生きるための読書津野海太郎読み始めた序盤、老人の中にも「ヤング・オールド、ミドル・オールド、オールド・オールドという暗黙の段階づけがある」とか、「『老人→もうじき死ぬ人→死』という新段階」とか、老いへの解像度を上げてもらえて嬉しい。 『3 もし目が見えなくなったら——伊藤亜紗』で紹介されていた、見えない人の空間の捉え方が驚き&印象的で、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』を読みたくなった。 また、『4 コモンと気候変動——斎藤幸平』で引用されていた、花森安治の文章があまりにも響いた。 >> このへんで、ぼくら、もう頭を切りかえないと、とんでもない手おくれになってしまいそうなのだ。もう、〈国をまもる〉なんてことは、ナンセンスなのだ。 >> 〈地球〉をまもらねばならないのだ。 >> どっかの国が攻めてきたら、どうする。 >> この祖国の山河をどうする。 >> なんて、あいつは、ぶつくさ言っているようだが、それも言おうなら、この〈母なる地球〉をどうする、じゃないのか。(p60-61) - 2026年4月8日
- 2026年4月8日
- 2026年4月8日
蠅横光利一読み終わったミクロからマクロへ自在に描写をあやつり、蝿も馬も人間も同じ「いきもの」として等しく眼差されているように感じた。人物の誰かにフォーカスすれば、「人間ドラマ」を描くこともできそうだが、そうはせず、並列に描かれているのが面白い。 - 2026年4月8日
- 2026年4月8日
心理と教育へのいざない 〔新訂〕佐藤仁美,向田久美子,苑復傑読み終わった13〜15章読了。 「第13章 スクールカウンセリング」で紹介されていた、「右肩上がりの発達観」と「死と再生の発達観」。 自分は前者に固執しがち(自分というものを「改善し、スキルを獲得し、成長すべき対象」と捉えがち)だと自覚した。 > 人が変わるということは、自分に足りないスキルや考え方を身につけて、パワーアップする右肩上がり的なものだけではなく、今までの自分の限界を悟りこれまでの自分を解体して、新しく生まれ変わるという発達観も必要なのである。(p191) また、「理想自己」には正と負それぞれの方向性がある、というのも言われてみればなるほどだった。 正の理想自己(あのようになりたい):現実自己と近づき、重なりが大きくなるほど自分に自信が持てる 負の理想自己(ああはなりたくない):理想自己と現実自己とが離れていればいるほど、自分を肯定しやすくなる - 2026年4月8日
苦痛の心理学:なぜ人は自ら苦しみを求めるのかポール・ブルーム気になるReadsの新着で見かけて > 本書は、人間にとって「意味ある痛み」というものを科学的に考察します。「苦痛」という一般にはネガティブなものと思われている要素が、むしろ「快楽」「意味」「充足」といったポジティブな体験と深く結びついているという逆説的な視点を示します。(中略)「痛み=悪」、「快楽=良」という単純な二元論を超え、本書は「人生をより意味あるものにするには、ある種の“適度な苦しみ”が必要だ」という考えを示します。(出版社サイトより) - 2026年4月7日
人面瘡 金田一耕助ファイル 6横溝正史読み始めた『睡れる花嫁』読了。 > それは凶悪であるばかりでなく陰惨であった。陰惨であるばかりでなく不潔であった。しかもあいついで起こった陰惨にして凶悪、凶悪にして不潔な「睡れる花嫁」事件の底には、ほとんど常識では考えもおよばぬような、犯人のゆがんだ狡智と計画がひそんでいたのだ。(p5) 冒頭ここまで煽りに煽ってハードル上げても、キッチリそれを超える事件をお出ししてくれる横溝正史よ。 - 2026年4月7日
ババヤガの夜王谷晶読み終わった最高最高最高ーーーーーーー!のエンタメ小説だった。今年イチかもしれないし、生涯で好きな本に入るかもしれないし、それはこの作者の別の作品になるかもしれない。それほどに魅了された。夢中になりすぎて電車を降り損ねた。 ヤクザ相手の暴力は躊躇わないのに犬を見殺しにできない依子をすぐ好きになってしまったし、ふたりのキャラクターと距離感、関係性が本当に魅力的で……脇役もクセが強くて、本編では描かれていない気になる点もいろいろあり、語られないからこその良さもあることは分かりつつ、オタクなので番外編が欲しくなってしまう…… 普段あまりフィクションの暴力を好まない(フィクションの殺人は好むため、別に倫理的なわけではない)自分でも、この小説には血と暴力が不可欠だと思ったし、暴力やそれにまつわる描写のうつくしさに何度もハッとさせられた。 物語の構成もめちゃくちゃ好み(何せ後書きで名前のあがってる監督の作品が好き)で、あまりにも至福のひとときだった。 - 2026年4月7日
- 2026年4月7日
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