chika "プロジェクト・ヘイル・メアリ..." 2026年5月3日

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@koitoya
2026年5月3日
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
アンディ・ウィアー,
小野田和子
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』 アンディ・ウィアー、小野田和子(訳)(早川書房) 映画が面白かったので、原作も読んでみた。 映画・原作を通して惹かれたのは、主人公の圧倒的な好奇心と、種族を超えても「伝えよう」とする姿勢。 「これはほんとうに異星生物なのか?ぼくはそんなに運がいいのか?生きているうちに人類が初めて地球外生命体を発見する瞬間に立ち会えるほど?! ワオ!だってーペトロヴァ問題は、それはやっぱり恐ろしい、が……ワオ!エイリアンだぞ!これはエイリアンかもしれないんだ!あした子どもたちにこの話をするのが待ちきれないー。」(上巻p62) 恐怖と興奮がほぼ同時に立ち上がってくる、この感情の混線がとてもいい。人類規模の危機のただ中にいながら、それでもなお「エイリアンだ」と歓喜してしまう。そのうえで「子どもたちに伝えたい」と思うところに、このキャラクターの本質が表れている。 彼はすごく教育者的で、どこか無邪気でもある。そして、その無邪気さこそが人類を前に進める原動力なのだ。 異星人ロッキーとの生活には、共有できるものとできないものがある。最初から分かり合えるものもあればそうでもないものがある。 ここで思い出したのが、星新一のショートショートだ。記憶がおぼろげだが、人間が宇宙人に出会い挨拶として口にキスをするが、実はその種族は鼻行類で人間から見れば肛門にキスをしていた、という話。 ロッキーとの関係も同じで、最初は行動・文化などの意味がまったくわからない。けれど観察や経験を積み重ねることで、「これはこういう存在なのだ」と少しずつお互いに再構築していく。このプロセスこそが、この小説のいちばん面白い点だった。 また、星新一のこの話が示しているのは、「人間中心的な認識が裏切られる」ことのおかしさ・皮肉だと思う。 そして本作は、それを乗り越えていく物語である。 異なる存在と理解し合おうとする過程にヒューマニティーを感じた。
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
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