よろこびイサンディ "世界文明史の試み(上) - ..." 2026年5月4日

世界文明史の試み(上) - 神話と舞踊 (中公文庫 や 9-6)
実家の本棚に差さっていた本書は、以前、どこかの新刊書店で自分が上下巻あわせて購入したものだった。 帰省に際し、本書が気になって、読み始めた経緯がある。 まず、本書には注釈がなく、引用が余りに少ない。 加えて、論考を進めるにあたり、紙幅のせいにしたり、結論を急いだりして、結果、「たぶん」や「おそらく」と言った前置きを据えて、詳細な論拠を読者に示すことから逃げ過ぎている。 学術的な価値のある書物や読み物としての書物を区別することなく、ラインナップする中公文庫というレーベルであるから、気づかれないこともあるだろうが、学術系の書物を区別する筑摩書房や講談社の持つ文庫レーベルでは、或いは「ちくま文庫」や「講談社文庫」にラインナップされるべき書物であるだろう。 (良書の多い「ちくま文庫」や「講談社文庫」にラインナップされる作品を冒涜する意味合いは伏在させていない。) 現下、上巻の読みさしの状況であるため、そこまで言及できるか定かではないが、(もしかしたら、途中で改心があるかもしれない。)ある意味、ここまで論拠の不明瞭な文章で、ふわふわと上下巻を書き切る芸当は尊敬に値する。 これも読みさしにしている書物であるから、断定的には言えないけれど、吉川浩満著『理不尽な進化』(ちくま文庫)を読んだ際の感慨と類似している。 本書の著者は鬼籍に入っているから、沽券に配慮する必要もないのかもしれないが、吉川氏の著作同様、スケールの大きい論考で何かを言ったようにするには、かような書き方が必要となるのかもしれない。 ただ、個人的には読了するに値する書物か、というのは念頭に置きながらの読書になると思う。
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