

よろこびイサンディ
@yorocobi_isandy
- 2025年8月24日共生の思考法塩原良和読み終わった邪気の有無に拘らず、マジョリティであったと仮定した場合の我々が、等しく行動に移しているマイノリティに対する振舞いの裏の裏まで詳らかにしている部分が、本書の真骨頂だと言っていい。 読みさしのときにも言及したけれど、僕も多くの状況下でマイノリティに属すると自負している。 その僕でさえ、マジョリティの無邪気な対応の深層が陽の元に晒される部分は、正視し難い気分すらあった。 ただ、末尾へと進むにつれ、その快刀は鳴りをひそめ、私見では凡庸なる結論へと着地したのではないかと思う。 脈拍が躍動するような、その快刀乱麻を目撃するだけでも、本書は一読の価値がある。 極右政党の躍進する参院選を経験した我々という視座からも、本書は読まれたい一冊だと言える。
- 2025年8月12日鉄道と愛国𠮷岡桂子読み終わった本書は2部構成となっていて、後半の200ページを成す第2部は前半部とは異なる内容となっていた。 いつぞやに中国が掲げた「一帯一路」構想の中間報告的な内容だった。 中国が国家ぐるみで実施する侵犯のニュースは海洋面で大きく取り沙汰されている印象だが、本書は鉄道を介した陸上面での侵犯ともとれる内容だった。 80年前、武力によって卑劣なやり方を用いても日本が実現させたかった「大東亜共栄圏」なる構想を、中国は、ある意味、違う手法を用いて履行しようとして、ある程度まで進んでいる。 皮肉にも往時、日本がレールを敷いたのと同じコースで実行される場合もあるようだ。 本書には多くの国々が登場するが、それぞれに性格があり、十人十色でしたたかに、日中を含めた他国と付き合っている。 想像力の欠如が叫ばれて久しい日本と日本人に於いて、東南アジアや南アジア、東欧に至るまでの内容が取材を元に記された本書は、そのしたたかさを垣間見る一助となるかもしれない。
- 2025年8月9日鉄道と愛国𠮷岡桂子読んでる名古屋に配属になってからすぐの時期に購入した記憶がある。 何かで勧められていたような気もするし、違う本を探していて、気になって購入したのだったか、記憶は曖昧模糊としている。 自宅の本棚を眺めていて、背表紙と目が合った瞬間、「鉄」の上司に勧めたら、もしかしたら喜ぶかもしれないと思い立ち、積読の期間を乗り越え、読み始めている。 前半部まで読み進めたところから推察するに、新幹線を筆頭にした高速鉄道を論の軸に据えた上で、日中関係の変遷について綴られた本であることが分かる。 細部を捨象すれば、日本の新幹線技術を盗用されたようなトーンで話は進んで行く。 批判的でこそないが、決して中立的とも言えないナラティブはため息をつかせる。 ポリティカルな立場を黙殺すれば、得られる知識は多くある。 それをフィックスロープとして、読了まで登坂しよう。
- 2025年8月3日共生の思考法塩原良和読んでる自分も、マジョリティから虐げられているタイプの人間であることは疑いの余地のない事実であるが、マジョリティに属することを自認しているタイプの人間が行なう悪気のない言動に対する、静かな断罪が為される本書を読み進めることは、何か居心地の悪い気分のするものである。 ブルーハーツは「更に弱いものを叩く」と、悲哀を込めて歌っていた。 僕も更に弱い者を叩くような性悪な大人になり下がっているのかもしれない。 読み遂げなくてはならない本である認識がある。 ただ、矢印を自分に向けると辛い読書である。
- 2025年7月27日小さな倫理学入門山内志朗読み終わった読んでる慶應大学文学部教授による倫理学の書籍である。 鯱鉾張った教科書的な内容ではなく、大学生未満であっても理解し易いのではないか、と推察される。 平明な文章であるにも拘らず、ティーンエイジャーまでに感ぜられる世間に纏わる疑問に見通しを立ててくれる書物だ。 100ページ程で読了と相成るが、内容はそれ以上に実りある。 幸運であれば、中学生までに内容を理解することができるだろう。 未だ見ぬ我が子が10代に差し掛かる時分には差し出してみたいとの想いを抱くことができた。 一線級の学者による平明な書物には、長く記憶に残り続ける代物が稀にある。 この一冊はそれに値するのではないか、と期待する。
- 2025年7月27日ケアと編集白石正明読み終わった医学書院の「ケアをひらく」シリーズについて、関心こそあれ、あまりに売れたシリーズであったことも手伝い、天邪鬼な僕は読まずにいた。 担当編集者の視点から紡がれた、シリーズに通底する一貫した物語が書かれた本書を読了したからには、俄然、読みたい気持ちが勃興して来ている。 例によって積読としている中井久夫氏の著作から読んでみようか、と企図している。 個人的な話ではあるが、シリーズを読了したあと、本書の評価は現時点に比べ、浮上するのだと思う。 本書を読んだだけでも新しい発見の多い、素晴らしい作品だったが、シリーズの読了後、再度、見返したいと思っている。
- 2025年7月23日ケアと編集白石正明読んでる先程、名古屋へ帰るバスの中で読了を迎えた1冊の、その次に読む本はこれと決めていた。 同じタイミングで購入した本のうちの1冊であり、日経新聞の読書欄にも同じ日に載っていたような記憶がある。 上下巻でも、同じ作者でもなく、関連性は乏しい複数冊を、密かにセットとして捉えていることは読者諸賢にもあるのではないか。 本作は、この10年くらい書店の目立つ棚に、いつも並んでいるような記憶のある医学書院の「ケアをひらく」シリーズの名編集者である著者による著作だ。 読むのが遅い当方であっても、2時間程度で100ページを超えた。 読みにくいということがない。 己が不恰好を自覚しつつ、二項対立の間隙を縫ってふらりと歩く、というような書物を、近頃、読んでいないことに気づいた。 個人的な疑念ではあるが、読み進めるにあたり、昨年の終盤に読了した、山口由美子著『再生』(岩波書店刊)の存在が意識を小突いてくるのは、同じ出版社からの刊行物である以外に理由があるのだろうか。
- 2025年7月23日中華料理と日本人岩間一弘読み終わった今回の帰京の際、結構な分量を読み進めることができ、名古屋へと向かう長距離バスの中で読了することができた。 中公新書からの刊行であり、傾向を踏襲しているのか、終章に至るまで著者の主張らしきものはなかった。 それで読みにくいということはなく、個人的な新発見の連続が読了まで引導してくれたと思う。 ルーツの分かる料理であること、ある程度までルーツの想像できる料理であることは、中華料理について知る上でどれだけ貢献しているか、分からない。 極右政党の台頭する時勢にあって、我々の身体を形成する料理の持つ多様性や多国籍性に想いを馳せた時間は意義深いものであった。 帰省した時間に読み進めた本は実家にいる家族へ逐一、アウトプットをすることから記憶に定着し易いという効用を感ずる。 ひとりの読書ではつまらないと思い、翻って独り身である自分の窮状を身につまされた。
- 2025年7月19日中華料理と日本人岩間一弘読んでる先般、日経新聞の読書欄にて掲載されていたのを観て興味を持ち、購入した経緯がある。 著者の前作にあたる『中国料理の世界史』が高評価を受けていたのを知っていて、著者への興味があったことも購入の一助となった。 途中まで読み進めたが、歴史系の作品に定評のある中公新書に収録された本書は、中華料理と言う切り口から明治以降の歴史を切り取っており、読み応えも十分にある。 夏の暑さに体力を奪われる時期にあって、それでもスルスルと読み進めることができている。 今月中には読み終えたい。
- 2025年6月20日地図で読む昭和の日本今尾恵介読み終わった読み進めているさ中、おそらく10年以上は積読にしていた本であることに気づく。読み応えのある本を積読にしていた罪悪はこの本だけに限らず、故に僕の首を真綿で締め上げていると思う。言わずもがな、読むために購入しているのだから、読まねばならぬ。さすれば、この本から得られたように知識は降り積もるであろう。300ページ超の本書は、しかし半分くらい古地図が掲載されている。故にあれよあれよと読み終わる。昨今、ヒット作を飛ばしたことのある著者の本を依然、積み上げている。そちらも読了したい。
- 2025年6月15日地図で読む昭和の日本今尾恵介読んでる昨年の忘年会の際、本作の著者を支店長に勧め、更には読了し次第、著作を支店に持参する旨、話しておきながら、重い腰が上がらなかった。作家の腰の重いのばかり真似たとて、文章が上手くなる訳ではないことに気づいたか、気づかぬのだったのか、次に何を読むか、思案した際にその時分のことが思い浮かんだ。読んでみると、あっという間に100ページまで到達する。軽快に読み進めようと思っている。
- 2025年6月15日柳宗悦 美の菩薩阿満利麿読み終わった数年来、柳宗悦への関心ばかりが募り、彼についての評論や彼自身の著作を数点集めたが、思い返せば、読了へ追い込んだのは初めてであることに気づく。「在野の美」という当初的な意味合いでの民藝が、何か高尚なものに持ち上げられる昨今に、月並みの違和感を持つことが、遅ればせながらできた。著者の作品としては、『宗教の深層』の方が読み応えがあったが、本作も決して駄作の類いではない。柳についての評論として、最初にこれにあたったのは幸福なことであった。
- 2025年6月14日老いの荷風川本三郎読み終わった「今月中に読み終えたい」と記してから読了まで、更に半月を要してしまった。じっくりと読んだがために荷風を概観することはできたのではないか。ただ、原作にあたっていないため、僕の理解が核心を突いているのか、自信を持てないところがある。先般、購入した岩波文庫の原作を早晩、読んでしまいたい。
- 2025年6月8日柳宗悦 美の菩薩阿満利麿読んでるいつ購入したのだったか、記憶にない本である。19年6月に初版となっているから、おそらくこの6年の内に新刊書店で購入した。先日、読了した著作の著者による柳宗悦論である。こうやって、芋づる式に興味が湧いてくるのはいい傾向であると思う。おそらくこの先、積読となっている鶴見俊輔の柳宗悦論も読むだろう。より古い鶴見の方を先に読むべきだろうが、肩肘の張らない読書であるから、気にしない。今月中には読み終えたい。
- 2025年5月26日老いの荷風川本三郎読んでる昨年、複数冊を読了した石川美子の著作に荷風についての記述があった。爾来、荷風への関心が蠢動していた事実に、書店の文芸評論の棚の前で気づいた。十年前に南原繁記念出版賞を受賞した、他の著者による荷風本と迷ったが、以前から知っていた川本三郎の、彼の著作であるこちらを購入したことは間違っていなかった。「老いの」と銘打ってあるが、その制限を感ずることはなく、荷風を概観するには不足ない代物なのではないか。荷風の著作を拝読するのが本丸であり、先のような気もするが、荷風を対象として記述された随筆が関心の端緒であったのだから、さして問題にはなるまい。今月中に読了したい。
- 2025年5月19日宗教の深層阿満利麿読み終わった「名文は人文書に多い」という言葉を、いつだったか、SNSで読み、それをしつこく覚えている。敢えて引用することはしないが、本書は名文が多かった。大型連休中、軽快に読み進めていたが、予想はしていたが、休み明け、イベントが多く、終盤は繋がりや大局的視座を逸したまま、読んでしまったことはこの本に申し訳ない。再読の価値のある本である。いつかまた再訪したい。
- 2025年5月2日宗教の深層阿満利麿読んでる今週月曜日に行った神保町の古書店で購入。著者のことはEテレの番組に出演していて知っていた。彼の著作は複数冊を積読にしているが、今週買った本を、先んじて読み進めるのは、他の本に悪い気がしている。程よく読み応えのある内容は読書に張り合いがあってよろしい。目次を見るに、このあとに書かれている内容にも興味を惹かれる。
- 2025年4月28日カオールの酒壷: 歴史へのひとり旅木村尚三郎読み終わった東大教授による、主に70年代におけるフランスでのひとり旅の紀行文が前半部。後半部の比較文明的な文章でも、新たな発見があった。80年代初頭であっても、低成長、技術革新が乏しいことの言及があり、現在の高みから見れば、驚かざるを得なかった。加えて、ジェンダー的に無遠慮な記載が多く、隔世の感もあった。時代背景が大きく異なることに目をつぶれば、いい読書だった。
- 2025年4月26日カオールの酒壷: 歴史へのひとり旅木村尚三郎読んでる東大教授による40年ほど前の著作。相撲の行司のような名前のこの人も、おそらく歴史学者なのかもしれない。往時のパリをひとり旅した際の紀行文である。隔世の書物ではあるが、読みにくいということがない。4月末までには読み終えたい。
- 2025年4月25日
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