風呂崎
@furosaki
2026年5月1日
十角館の殺人 <新装改訂版>
綾辻行人
読み終わった
ネタバレあり
時計館のドラマを観たのでその流れで読みました。
ドラマ版を先に観てるのでどうしても比較しながら読むことになったけど、原作もまた空気感がちょっと違って楽しく読めました。
ドラマ版では結構追加されたシーンが多かったんだなと読みつつ思いました。(アパートとか病院での聞き込みのくだりとか)
特に千織ちゃんと江南くんとのやり取りは大幅に増えていたけど、千織ちゃんがどういう子だったのか分かって感情移入しやすかったのであれはあれで良かったなと思います。
ドラマ版は犯人が、ミス研のメンバーが千織ちゃんが倒れたことを内心面白がっていたのだと思い込んだのが動機だったのに対して(だからこそ江南くんの超推理が犯人の心を抉った)、原作はミス研メンバーが無理矢理お酒を飲ませた(と思い込んだ)ことが動機になってましたね。
ドラマ版は犯人自身が千織ちゃんが亡くなったことを"ミステリー"の始まりにしてしまったというのが皮肉で辛い。
原作では実際にお酒を強要したかどうかは明確には書かれてないけど、エピローグで瞼を閉じてももう千織ちゃんの姿は見えなくなってしまったって描写が、明らかに犯人がこの件が過ちであって後悔があると感じているが故のもので本当に切ない。
本当にどこかで止められなかったのかよ。
最後、真相が書かれたビンは島田さんの手に渡った訳だけど、時計館のドラマを見る限りあの人警察に届けてない可能性もあるなと思いました。"答え合わせ"のためだけに使いそうな…。
ただ、あの様子の犯人はどちらにせよ自首をしそう。
6人も殺害したとなるとよくて終身刑ですよね…。
原作ではドラマ版よりもキャラクターの心の声や細かい描写が分かってよかったなと思いました。
中村青司はドラマだとただ気が触れてしまった人という印象でしたが、文章で読むと心底愛した人への愛し方も分からず、愛も返してもらえず、哀しい、可哀想な人という印象に変わりました。
あとはヴァンの独白で見るエラリィはなんだか可愛げがあった。エラリィは言っちゃいけないこととか言うけど、最後まで外部犯説を信じていて、ミス研のこと本当に好きだったんだろうなぁと思います。
最悪な流れで飛び出してきた内容だけどヴァンとポウの背景も知れて良かったです。ヴァンは天涯孤独なんですね…。
今回は電子書籍版で読みましたが、あの一文がページの中ほどにあったのが勿体なかったです。おそらく、紙の書籍ならめくって一行目にあったのでは。本当にあれは衝撃でした。こういう、まさか思い至らないことがあっと起こるというのがミステリーの醍醐味だなと思います。
そういえば夫人の左手が届いて飲み明かす紅次郎さんに付き合った島田さんが"僕もその時は色々あって〜"みたいなことを言っていたけどあれはなんだったんだろう。読み飛ばしてなければ、この先のシリーズで語られる機会があるのかな。
ドラマ版から入ったので江南くんがキャラクターとして好きなのですが、再登場は時計館までおあずけらしいですね。
再登場を楽しみにしつつ、引き続き続編を読んでいこうと思います。

