
酸菜魚
@suancaiyu
2026年5月5日
あなたが言わなかったこと
若松英輔
読み終わった
@ 待合室
読書は基本的にひとりでするものだけど、この本はよりひとりになって、自分自身と対話しながら読みたい本。
何気なく聞いている言葉について考えを巡らせるエッセイで、お寺が発行している月刊紙に連載されていたもの。書き下ろしの詩が数篇加えられている。
この書き下ろしの詩が大好きだった。
中盤に差し込まれている『生きる意味』という詩では、「いま・ここを生きる、それだけで意味がある」というメッセージを伝えている。
この考え方は自分にとってすごく大切で、またこの本で出会えて感激した。
何のために生きているのかを考えると、どうせいつか死ぬし、死んだらなにも感じないのだから生きている意味なんてない、という結論に至ってしまう。みんながみんなそうではないかもしれないが、少なからず自分はそう思う。
草むらで何かを啄んでいる鳥や、コンクリートの道をひたすら這っている虫をみて、なんのために生きているんだろう、と考えることもある。何して生きているんだろう、この鳥は。何考えてるんだろうな、と。
生きているのって苦しいのに、生きている。食べるためには働かなければならない。自然界の生き物は、食べるために命をかけている。
そうまでして、生きる必要はあるのか、と疑問に思っていたこともあった。
でも、いま・ここに生あるものとして存在していて、自分が自分であるということの偶然性を考えると、そのかけがえのなさに気付く。自分が意識ある存在として、目の前のこの世界を認識していること。これは、偶然の産物であり、一回限りである。
自分が自分として生きていることそれ自体が、かけがえのないことで、意味なのである。
でも、意味を感じるのは難しい。
この詩ではこう教えてくれる。
意味とは
己れの生を
静かに味わおうと
こころに決めた者に
静かに
明かされる
人生の秘密だ
日々仕事や家事に追われるように生きているけれど、静かに、自分の生を味わって生きようと思った。

