

酸菜魚
@suancaiyu
嵩張るので最近はKindleだけど、辻村深月だけは絶対に紙で手に入れる。
30代男性
台湾が好き。
- 2026年5月5日
あなたが言わなかったこと若松英輔読み終わった@ 待合室読書は基本的にひとりでするものだけど、この本はよりひとりになって、自分自身と対話しながら読みたい本。 何気なく聞いている言葉について考えを巡らせるエッセイで、お寺が発行している月刊紙に連載されていたもの。書き下ろしの詩が数篇加えられている。 この書き下ろしの詩が大好きだった。 中盤に差し込まれている『生きる意味』という詩では、「いま・ここを生きる、それだけで意味がある」というメッセージを伝えている。 この考え方は自分にとってすごく大切で、またこの本で出会えて感激した。 何のために生きているのかを考えると、どうせいつか死ぬし、死んだらなにも感じないのだから生きている意味なんてない、という結論に至ってしまう。みんながみんなそうではないかもしれないが、少なからず自分はそう思う。 草むらで何かを啄んでいる鳥や、コンクリートの道をひたすら這っている虫をみて、なんのために生きているんだろう、と考えることもある。何して生きているんだろう、この鳥は。何考えてるんだろうな、と。 生きているのって苦しいのに、生きている。食べるためには働かなければならない。自然界の生き物は、食べるために命をかけている。 そうまでして、生きる必要はあるのか、と疑問に思っていたこともあった。 でも、いま・ここに生あるものとして存在していて、自分が自分であるということの偶然性を考えると、そのかけがえのなさに気付く。自分が意識ある存在として、目の前のこの世界を認識していること。これは、偶然の産物であり、一回限りである。 自分が自分として生きていることそれ自体が、かけがえのないことで、意味なのである。 でも、意味を感じるのは難しい。 この詩ではこう教えてくれる。 意味とは 己れの生を 静かに味わおうと こころに決めた者に 静かに 明かされる 人生の秘密だ 日々仕事や家事に追われるように生きているけれど、静かに、自分の生を味わって生きようと思った。 - 2026年5月1日
象の旅ジョゼ・サラマーゴ,木下眞穂読み終わった@ ホテルPodcast「私より先に丁寧に暮らすな」で鵜飼さんが人生イチの好きな本として紹介していて知る。 恥ずかしながらサラマーゴがノーベル文学賞受賞者だとも知らなかった、鵜飼さん、サラマーゴのことを教えてくれてありがとうございます。 16世紀、ポルトガルからオーストリアへ、マクシミリアン二世への贈り物にされた象が旅をする話。 史実に基づいた話だが、これもまたまったく知らず、マクシミリアン二世について調べたり、リスボンからウィーンってめちゃ遠くない?とGoogleマップを見たりした。 象が旅する話なのだけど、象というより象をとりまく人間が面白く描かれていた。象遣いのインド人、スブッロ、キリスト教徒か聞かれたらまあまあです、と答えたり、哲学的なことを言ったり、かといえば象の毛を売りつける商売をやってマクシミリアン二世に嫌われたり、人間味があって面白いヤツ。 セリフもあるのだけど、鉤括弧は一切使われず、地の文に全て書かれる。紙芝居のように、口頭で語られる伝承の文字起こしというとわかりやすい。語り手は著者のサラマーゴ。史料が足りなかったとか、たまに言い訳を入れてくる。 いい本だった。 16世紀のヨーロッパで象がどのように民衆から見られているか、象とともにヨーロッパに渡ってきたインド人は何を思っているのか、貴族・軍人は何を大切にするか、港は汚いこと、そのほかたくさん。 何回か読み返したくなる本かも。今回は図書館で借りたけど、買おうかな。 - 2026年4月25日
過疎ビジネス横山勲読み終わった@ カフェ横山記者と、問題意識に賛同した多くの協力者による、非常に社会的意義のある報道。 エピローグの最後、この6行にまとまっている。 この先の地方は人口減少に拍車がかかり、否応なく過疎化が進む。 過疎自治体は国から投じられた補助金や交付金で延命を続ける。 そこに目をつけた都会のコンサル企業が言葉巧みに群がってくる。 官民連携の名の下に行政機能の外部委託が進められ、地域は自ら考えることを止める。 やがて自治体行政はコンプライアンス意識が根本から崩壊した「限界役場」と化す。 そんな地方創生が死ぬ日が来ないことを願う。 ○地方のプライド 地方創生という言葉が私はあまり好きではない。 地方は創生されたいと思っているのか?と疑問に思っている。 上の引用にもあるが、人口減少に歯止めがかからない状態では、延命措置にしかならない。それは自治体同士の人口の奪い合いであり、消耗していくだけだと思う。 一部の力を持った自治体が人口の奪取に成功し、他の自治体は寂れていくだろう。 「寂れていくのは仕方ないけど、いい寂れ方をしていきたい」といったような町議の声が印象に残った。地方創生とは、自治体、住民の尊厳の話なのかもしれない。 ○アナキズム 首長と議会が考えることをやめてコンサルに丸投げした結果、コンサルに乗っ取られ、企業版ふるさと納税制度の穴をついた寄付金還流ビジネスで好き放題にされてしまう、という話だが、以前読んだ「シン・アナキズム」が想起された。 デベロッパーは町の発展に責任を持ってくれない。失敗しても逃げるだけ。そこに住んでいる住民こそが町を作っていかなければならない、というアナキズム的考えの必要性が改めて理解できた。今回はコンサルだが、やはり外の力に頼りすぎず、自らが主体性を失うことなく町を作っていくのだ、というマインドが必要不可欠なのである。 - 2026年4月20日
若い読者のための宗教史リチャード・ホロウェイ,上杉隼人,片桐恵里気になる - 2026年4月19日
スター朝井リョウ読み終わった@ 自宅本来比べられないものを比べてしまうこと、あるよなぁ。 映画とYouTube動画、高級料理と完全栄養食。満たそうとしている欲求は違うのに、自分が大切にしている方がどうしても尊いものに見えてしまう。 引っかかったというか、軽い衝撃を受けた比喩表現がある。 “「そんなの」尚吾は、応援歌でも歌うかのように言う。「俺たちが選んだ道のほうがいいに決まってます。こんな動画が名作映画みたいって持て囃されるの、やっぱり間違ってますから」” YouTubeで世に名が出ていく絋に対する負け惜しみみたいなことを言う尚吾を描いている場面。 応援歌は、自分自身に言い聞かせるように、自分の心が負けないように歌うってことか。 確かにそうかもしれない。気を抜いたら崩れてしまいそうな精神を、騙し騙しでも前に向かせる方法の一つが応援歌を歌うこと。 歌を歌っていたら、他のことは喋れない。自分の考えの正しさが揺らぐようなことを喋らないように、応援歌を歌うのかもしれない。 - 2026年4月19日
- 2026年4月19日
あなたが言わなかったこと若松英輔もらった - 2026年4月19日
スマホを置いて旅したらふかわりょうもらった - 2026年4月18日
象の旅ジョゼ・サラマーゴ,木下眞穂気になる - 2026年4月18日
ふだんづかいの倫理学平尾昌宏気になる - 2026年4月16日
あのころの僕は小池水音読み終わった@ 自宅初めて読んだ小池水音。 朝井リョウのラジオで、自らをパフェ代表として発言する小池水音さんの話を聞いて、これは不思議な人に違いない、と思いたどりついた。笑 やさしく、淡々と描写されながら、胸がときおりギュッとなる。 母親を失った5〜6歳のときの自分を思い返す語りでありながら、「母親を失った子ども」とぎこちなく接する大人たちを描いている。 大人は人との別れを、噛み砕いて飲み込むことができる。子どもはまだ自分の気持ちを、考えを自分でうまく理解することができない。 どんなに言葉巧みな大人でも、子どもに自分と同じように目の前の別れを解釈させることはできない。 それは、自分だけにしかわからないことであり、自分だけがわかればいいもので、自分で自分と対話しながら徐々に理解していくしかないのだ。 *** 〈関係ない思い出〉 自分が幼稚園の年長だったころのことで覚えているのは、写真が嫌いだったことと、折り込みチラシを細く丸めて硬い棒を作るのが得意だったことくらいかな。 あと、給食で出てきたミックスベジタブルが食べられなくて、他のおかずの下に隠して食べたように見せ、先生にOKをもらおうとしていた姑息な自分。笑 写真が嫌いだったのは、数秒でもじっとしているのがもったいなかったからだと思う。 楽しいことがいっぱいあるのに、大人に付き合ってじっとしていられるか!と、撮り終わったらすぐに走り出していたような。 - 2026年4月13日
- 2026年4月13日
- 2026年4月12日
シン・アナキズム重田園江読み終わった@ 自宅5人のアナキストの思想を紹介する列伝。 紹介されるのは、必ずしもいわゆる政治思想家ではなく、アナキズムを実践する活動家も含まれる。 破壊、暴力、略奪というイメージのあるアナキズムだが、小さい共同体による自治という実践的な生き方の話である。 市場経済的考えが蔓延し、市場経済的要素を持たないものにもその考えを当てはめて考えた上でのモラルを所与のものとして判断に用いる我々に対して、「もしそうではなかったなら」という別の世界の見方を提示してくれる。 内容は難解なところもあるが、それぞれのアナキストの著書そのものを読むよりはわかりやすいと思う。 グレーバーの「なぜ借りたものを返さなければならないのか」という問いに対して、そういうものでは?と思ったあなたも私も、市場経済のモラルに雁字搦めにされているのである。 「民主主義の非西洋起源説」、相手からの返礼を強制する「贈与論」、「社会的費用」など、興味のそそられる思想・論考が多く引用、参照されていておもしろい。 この本は、現在に対するオルタナティブを提示してくれるわけでもない。 誰かに提示された答えは、それこそ自治・自律の生き方であるアナキズムに馴染まない。自分で見つけるのだ。 - 2026年4月10日
- 2026年4月4日
社内政治の科学木村琢磨気になる - 2026年4月1日
編むことは力ロレッタ・ナポリオーニ,佐久間裕美子読み終わった@ 自宅軽めの編み物エッセイとかではなく、ちゃんと社会学とかフェミニズムとか、伝えたいことのはっきりしている本。 編み物が女性の経済的な役割を支えたり、何かを訴えるときの武器になると同時に、それは人生のメタファーでもある。 「最初からやり直すために、編み地をほどくこと、手を放すこと、糸を引っ張ること、編んだ目をなかったことにする作業は苦痛だ。布になったものをほどきながら、自分の何時間もの作業がほどかれ、巻き戻されて、ねじれて傷んだ毛糸の玉になる様子を見ることになる。ひどく苦痛な作業である。けれど、時にはやらなければならない。」(p63) 人生も、間違ったまま進むとあとでおかしなことになる。進んできた道を否定することは自分を否定することに繋がる。反省して立ち帰ることは辛いが、結局はその方がよかったりするんだ。 *** 編み物をやる人はたぶんひっかかる訳だと思うのだけど、編み物に「列」という表現は使わない。正しくは「段」だと思う。 - 2026年3月31日
- 2026年3月29日
日月潭の朱い花青波杏読み終わった@ 自宅Readsで知って図書館へ。 あまり前情報を得ずに開いてみたらミステリーで、面白く読み進めた。 最終章とエピローグは目が潤んだ。 日月潭には行ったことがあり、雰囲気がわかってより楽しめた気がする。淡水も、迪化街も、自分にとってはすっかりお馴染みの景色で、そこを歩むサチとジュリがありありと見えた。 そしてやっぱり台湾料理は美味しそう。 時代、政治、暴力に虐げられて傷付いてきた女性の話である。 傷付いて、これ以上もう傷を負えないくらいに傷付いているけど、自分のことをわかってくれる誰かに伝えたい。でも、これ以上傷つけられるのには耐えられないから、どうせわかってくれない、と伝えることを拒んでしまう。この傷を簡単に癒すことはできないだろうけど、優しく包み込んで、じんわりと体温を分け与えたら、心に届くだろうか。 写真は日月潭。
- 2026年3月26日
ワンルームから宇宙をのぞく久保勇貴読み終わった@ 電車こんなエッセイを書けたら楽しいだろうな。 勢いがあるけど、迷いや苦悩やもやもやが綯い交ぜになった筆致。 危険・オブ・ジョイトイが好き。 お気に入り2篇 ○ワンルームから宇宙をのぞく とてつもなく広く、今も広がり続ける宇宙に、その規模から見ればとても小さな地球の、そのまた1点に住んでいる。 自分が死んでいなくなっても、地球は回るし宇宙は広がり続ける。 死が永遠に思える。死んだら死んだことすらもわからないのだろうけど。 宇宙が少し怖くなるけど、それでも自分にフォーカスを戻せば、いま・ここで生きている。焦点の切り替えができるのが人間だし、それができるから生きていけるし病むのだろうなぁ。 ○カオスと後悔の物理学 カオス理論のはなし。バタフライエフェクト。 ほんのちょっとの差でも、予測不可能な結果にたどり着く。しかし、短い期間の予測ならできる。予測を繰り返して、ズレをなんども修正して、宇宙船を目的地に導くことができる。 人生もそれと同じように生きられたらいいな、という久保さんの気持ちに深く同意。
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