
octo
@mothmanoir
2026年5月6日

読み終わった
本邦の表象文化論の第一人者である小林康夫が、「青」を手掛かりに美術史を横断する、批評的エッセイ。「超越的な」性質を持つ「青」に導かれるようにして本書で辿られる美術史はまず何よりも自由で(恣意的で?)軽やかに奔放。「青」という色の歴史的由来に関するやや格式ばった記述から、聖母マリアの青いマントに関する記述へと、するりと滑り込む冒頭。それがジョットやフラ・アンジェリコ、フェルメール、ジャルダン、セザンヌ、マティス、サム・フランシスなどを介してIKBに緩やかに傾れ込んていく展開を追った読者は、まるで一つの旅を終えたかのような心地に包まれるだろう。
サム・フランシスの飛行体験と「青」を手がかりに彼の作品を読み解いた一節の美しさ。散文詩のような一冊。
