糖
@inwatermelon_
2026年5月6日
増補 普通の人びと
クリストファー・R・ブラウニング,
谷喬夫
読み終わった
ホロコーストと聞くとすぐに強制収容所での凄惨な毒ガス殺人が思い浮かぶけれど、およそ600万人とされる全犠牲者のうち、20〜25%が銃殺によるという。
この本は、直接的な銃殺、間接的な収容所への移送を担った警察予備大隊のなかでも、最も「普通」な人の集まりであった第101警察予備大隊に関する研究であり、それを通して今・これからを生きる人間への警句を求めようとする試み。
本編最後につづられた次の文章が重く響いた。
どこでも、人びとは、社会によって権威への尊敬や服従を強いられるのであって、実際、社会はそうでなければ機能しないのである。またどこでも、人びとは出世を追い求める。すべての現代社会において、生活の複雑さ、それによってもたらされる専門化と官僚制化、これらのものによって、公的政策を遂行する際の個人的責任感覚は希薄になってゆくのである。ほとんどすべての社会集団において、仲間集団は人びとの行動に恐るべき圧力を行使し、道徳的規範を制定する。第一〇一警察予備大隊の隊員たちが、これまで述べてきたような状況下で殺戮者になることができたのだとすれば、どのような人びとの集団ならそうならないと言えるのであろうか。

